ムー一族は、1978年から翌年まで放送されていた日本のホームドラマである。『寺内貫太郎一家』『時間ですよ』といったテレビ史上に残る作品を制作したプロデューサーの久世光彦が演出を務めた作品で、唐突な情報番組風コーナーの挿入や、演者が出演する他番組でのネタを披露するなど、非常に攻めたコメディを展開していた。
本作は、1977年に同じ水曜劇場で放送されていたテレビドラマ『ムー』の続編となっている。「ムー」と聞くと、同名の雑誌を連想する人は少なくないだろうが、当該雑誌の創刊よりも本作の登場の方が早く、また、かの大陸ともドラマは一切無関係である。
下町に足袋屋「うさぎ屋」を営む宇崎家を舞台とした本作は、過去に久世が手掛けた作品に比してバラエティ色が特に際立ち、次男の拓郎を演じる郷ひろみと、家政婦の金田を演じる樹木希林の掛け合いが人気を集め、劇中で両者が歌った「おばけのロック」がオリコン2位を獲得、同じく劇中で二人が歌った「リンゴ殺人事件」もオリコン1位になるというヒットを記録。
立ち退きを迫る二階堂卓也(細川俊之)と子分の八郎(たこ八郎)の掛け合いも根強い人気を博し、さらにはザ・ドリフターズをはじめとして具志堅用高、ピンクレディ、細川たかし、新沼謙治など、当時の人気スターや有名人が通行人で登場するといったカメオ出演も非常に多く、本作の見所の一部となっていた。
また、全39話のうち12話がなんと生放送となっており、演者が視聴者に電話をかけてトークをしたり、ホールで生中継を行なったり、同じTBS系列のラジオ番組(『生島ヒロシの夜はともだちII』)と連動したりと、予測不能な演出がエスカレートしていくこととなった。結果、若年層から圧倒的な支持を獲得し、最高視聴率21.8%を記録するほどのドラマとなった。
ところが、本作はこれまでほとんど再放送が行なわれてはいなかった。
それは、あまりのネタの詰め込みようによる肖像権や著作権の関係もあるようだが、特に強い要因と考えられているのは、関係者の不祥事・スキャンダルにあったと考えられている。
特に大きかったのは、樹木希林によるプロデューサーの久世についてのとある暴露であった。本作最終回後の打ち上げパーティが行なわれた際、多くの関係者が集結したその場で、樹木は「下駄屋の一人娘と久世さんとの間に、3月に子供が生まれます。今後は奥さんと3人で仲良くやってください」と、なんと久世が出演女優と不倫関係にあったことを明かした。
これにより、会場の空気は一瞬にして凍り付き、この時すでに妊娠8ヶ月であった当該女優は泣き崩れ、招待された沢田研二が怒声をあげて会場を後にし、さらには樹木の夫である内田裕也が騒ぎを聞きつけ飛んできたものの入場を断られパトカーが出動するなど、地獄絵図さながらの様相を呈したという。
のちに、久世は当時の夫人と離婚をして当該女優と再婚するが、このスキャンダルによってTBSを辞職するに至った。
そうした騒動の一幕もあったものの、2008年にはDVD-BOX、2020年にはBSでついに再放送され「ムー一族」は令和の世も、多くの人々の目に触れられるようになった。
【参考記事・文献】
・https://www.nazekini.com/entry/tv_99
・https://shogaigeneki.com/index.php/2016/07/20/muu/
・https://ameblo.jp/qtaro007/entry-12876653944.html
・https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geinox/141378
・https://beyond-carpet.com/archives/20273
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【文 ZENMAI】
画像『ムー一族 DVD BOX 1』
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