寺内貫太郎一家は、1974年に放送されたテレビドラマ。70年代、ホームドラマ全盛期ともされる時期に放送された本作は、昭和の東京下町にある石材屋の寺内家を舞台にしたコメディタッチの作品であり、平均視聴率31.3%を記録、同年の第7回テレビ大賞も受賞するほどの人気作品だった。
主演の貫太郎役を務めたのは作曲家の小林亜星、実は小林にとっての俳優デビューとなったのが本作であった。だが、彼が主演に抜擢されるまでは紆余曲折があったようである。
本作で脚本を担当した向田邦子が、主人公の貫太郎と自分の父親をモデルに、父親と重ねて描いたということから、太っていることが条件となっていた。そうした中で、フランキー堺や高木ブーといった人物にオファーがかかるが、いずれも多忙ということで断られてしまった。
局内で話し合いが行なわれた結果、「小林亜星がいるじゃないか」ということで小林が抜擢されることになったが、これですんなり決定とはならなかった。なんと、向田が「スケベそうでイヤだ」と小林の起用を最初は拒否していた。
そこで、プロデューサーであった久世光彦は、当時長髪でパンタロンの姿であった小林を丸坊主にすることを提案。頭を丸めた小林を連れて向田に会わせ、「これが貫太郎ね」と言ったことからとうとう向田は承諾するに至ったという。
とは言うものの、小林にとっては俳優など初めての経験、TBSとは付き合いが長いために断れなかったという一方で、心配が勝っていたのは確かであった。何より、親戚に大滝秀治というベテラン俳優がいたこともあり、特に相談などはしなかったものの、放送を観られて「やめろ」とでも言われたらどうしようかという怖さを感じていたという。
また、演技中に小林が起こしてしまった”やらかし”もある。
小林演じる貫太郎は、ちゃぶ台をひっくり返すような頑固者、その寺内家の長男・周平役は西城秀樹が演じていた。劇中では、そんな貫太郎と周平の取っ組み合いの喧嘩シーンが多いのだが、”本気”の喧嘩にならなければ久世からダメ出しされていたのだという。ただ、時折あたりが強いと、実際にお互いが本気の取っ組み合いになっていたという。
そんなある時、小林が西城を強く突き飛ばしてしまい、なんと、そこにあった釘が飛び出した板にぶつかって西城は手にケガを負い、結果として骨折ということになってしまった。
アイドル歌手としても多大な人気を誇っていた西城にケガを負わせたことにより、小林のもとに「お前の大事なところを引っこ抜く」といった恨みの籠った手紙が山のように届いたという。
因みに、小林にとって西城は一音楽家として尊敬する存在であったが、西城に曲を提供する機会になかなか恵まれなかった。
このことが実現したのは本作での共演から20余年、アニメ『∀ガンダム』の主題歌・挿入歌を小林が担当した際に、西城を指名したことで初めて実現することになった。
【参考記事・文献】
・https://www.asagei.com/excerpt/46043
・https://hochi.news/articles/20180127-OHT1T50107.html?page=1
・https://dot.asahi.com/articles/-/71467?page=1
・https://bunshun.jp/articles/-/8588
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【文 ナオキ・コムロ】
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