(上図)源頼光が病に伏している時、部下の四天王が張り込んでいると、坊主に化けた土蜘蛛が現れた。それを退治した絵である。
【土蜘蛛とは】
かつては朝廷に敵対する各地方の土豪を総称して、土蜘蛛あるいは土雲と呼んでいたことが記紀などから見て取れる。それが時代を経て、蜘蛛の妖怪として描かれるようになり、頼光・四天王伝説の中に取り込まれていったと考えられている。
『平家物語』剣之巻や『土蜘蛛草紙』などにも記されており、後者では頼光のもとに謎の美女が現れて、斬りつけたその血の跡を追うと、山の洞穴の中に巨大な蜘蛛を発見、さらにその蜘蛛の首を斬ったところ大量の死者の首と小蜘蛛がぞろぞろと現れたという物語になっている。
「土蜘蛛は化て四天へ巣を係る」と書かれたこの絵は、戦前に絵葉書としても印刷されていたようだ。鬼童丸(鬼同丸)については、別記事を参照。
(写真:山口敏太郎事務所)