高校2年の始業式のことだ。校長が新しく着任した先生の紹介をしていた。
「あれ?」
僕は、その中の一人を知っていた。『みどり先生だ』・・・
『またか、また僕を守りに来てくれたのかな?』、咄嗟に感じていた。
初めて会ったのは幼稚園だった。兄の自転車に乗っていると、ふと前に両手で防ぐような格好をしたお姉さんがいた。
自転車の急ブレーキをかけるとお姉さんの後ろにトラックが猛スピードで走り去っていった。お姉さんがいなかったら危うく僕はトラックにひかれて死んでいたかもしれない。
「気をつけてね」みたいなことを言われた気がする。
次は中1の時だった。「新規採用のみどり先生です」。『僕と同じ1年生なんだな』と思いながらも僕は『あの時のお姉さんだ』と思いながら話しかけようと思っていた。
クラスも学年も違うけど何故か、先生が今何をしたいのか、何に困っているのかがなんとなくわかっていた。しかし進級すると、みどり先生はいなくなっていた。何処へ行ったのか誰も知らない。

高校は県でも有数の進学校に進んだ。勉強は得意だったので進学校でも成績は上位だった。ただ心の底から笑いあえる仲間も教員もおらず上部だけの付き合いであった。
そんな高校生活を送っていたら冒頭のエピソードに戻る。
・・・『みどり先生だ』
人間は少し老化があったり女性だと化粧や髪型でイメージが変わるものだと思うが、みどり先生はイメージも何も変わることがない。
ずっと20代半ばのまま。
みどり先生が来てから仲間といえる人間が1人また1人と増えていった。担任や学年の先生も俺に目をかけ始めてくれて学校生活が一気に楽しくなった。
みどり先生は保健体育の先生だった。保健の授業では直接教えてもらっていた。試験は難しく学年平均は60点台、しかし自分はいつも学年トップの成績をとっていた。
何故か、みどり先生の伝えたいことがわかる気がしていて。『試験も此処がでるな』と思った所は必ず出た。
高3に進級し、みどり先生はいなくなった。そして自分以外の誰もがみどり先生の記憶はなかった。
次はどういうポジションで出会えるのだろう。
(夏目夢子 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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