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「小松政夫」伝説 『小松の親分さん』驚きのモデルと名フレーズ誕生のきっかけ

小松政夫といえば、コントの役に由来する「小松の親分」の愛称などで親しまれたコメディアン、俳優。ハナ肇とクレージーキャッツのボーカルで知られる植木等の運転手・付き人を経て芸能界入りをし、「しらけ鳥」「あんたはエライ!」などの持ちネタで知られていた。2020年に78歳で没。

バナナのたたき売りなど香具師の口上を覚えては友人たちの前で真似て披露するという子供時代を過ごしていた小松は、俳優になりたいという思いから上京。幼少期から培われたその”芸”が職で遺憾なく発揮され、自動車のトップセールスマンにもなったことがあるという。

実は、小松政夫という名前は芸名であり、本名は松崎雅臣(まさおみ)である。

芸名を名乗るきっかけは、俳優であり、『笑点』の座布団運びとしても知られる松崎真にあった。あるテレビ番組で松崎とクレージーキャッツが共演することになった際、松崎が二人いると混同されてしまうということ、そして雅臣が小柄だったということを踏まえて、植木が「小さい松崎」の意味で「小松」と呼んだことに起因しているという。

さて、前述した「小松の親分」は、『笑って!笑って!!60分』という番組内で、ヤクザの親分に扮して登場するも子供たちにからかわれて泣きべそをかき、子分が囃し立てることでリズミカルに立ち直るという一連のコントとなっている。

この「親分」ネタにはいくつものエピソードがある。まず、親分にはモデルがいるとのことだが、それがなんとそのまま「その筋の親分さん」だという。

ある時、小松が店で飲んでいると、その”親分さん”が近付いてきて、奥さんがファンだから家に来てくれといきなり言われたという。怖くて断れないまま親分さんの自宅へ招かれたということなのだが、この時のその親分の口調や仕草があまりにも印象的であったため、真似するうちに持ちネタになってしまったという。

それともう一つ、小松の親分の応援歌の中で、「ニンドスハッカッカー」「ヒジリキホッキョッキョー」といったナンセンスワードが繰り広げられるのも非常に印象的だ。このワードは、小松の発案ではなく小学生時代の女性教師が使用していたフレーズだったという。

小松によると、件の先生は生徒たちが良い点を取るなどした際、教壇に呼び出して両手両肩を交差させ、例のフレーズを穏やかに歌ったという。結局、小松もその言葉の意味を先生に訪ねる機会を逃してしまい、由来は永遠に謎のままとなってしまったそうだ。

志村けんの「だっふんだ」「大丈夫だ」といったギャグも、「だっふんだ!」というクシャミをしていた人、「大丈夫だ~大丈夫だ~」が口癖の人を見て”面白い”と感じ、ギャグとなったという経緯がある。小松もそうであるが、そうした人間観察力、そしてそれを”面白い”と直感する能力が長けていたということなのだろう。

実際、植木は小松の人間観察力の高さを高く評価していたそうだ。

【参考記事・文献】
https://dic.pixiv.net/a/%E5%B0%8F%E6%9D%BE%E6%94%BF%E5%A4%AB
https://bunshun.jp/articles/-/42331
https://encount.press/archives/122045/

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【文 ZENMAI】

画像『小松政夫 遺言