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「赤毛のアン」出版社が勝手に外伝を発表?!作者モンゴメリの苦悩の人生

赤毛のアンは、カナダの作家、ルーシー・モード・モンゴメリ作の長編小説。空想にたくましい少女アン・シャーリーが主人公、彼女の成長と人生を描いた児童小説の傑作として、これまで映像化・アニメ化なども多く展開。日本では、1952年に村岡花子の翻訳によって普及し、1979年に「世界名作劇場」でアニメ放送された。

もともと教師の傍ら文学雑誌などに短編や詩を投稿していたという作者のモンゴメリ。彼女が31歳の頃、当時新聞社の校正部で働きながら書き上げたのが「赤毛のアン」だった。しかし、計6カ所の出版社に「アン」の原稿を持ち込んだものの全てボツ。ショックを受けたモンゴメリは、その原稿をしまい込んで封印してしまった。

それからおよそ1年後のこと、部屋の片づけを行なっている最中に当時の「アン」の完成原稿を見つけ、久々に読み返した上で「もう一度どこかの出版社に送ってみよう」と決意、その結果「アン」がめでたく世に出ることとなり、たちまちベストセラーとなるに至った。

こうしてみれば、非常に喜ばしいことではないかと思えるのだが、それとは裏腹に彼女の人生は耐え難いほどの苦しみに満ちることとなった。

モンゴメリは、「アン」出版前から婚約していた牧師のユーアン・マクドナルドと1911年に結婚。だが、ユーアンは元々鬱病の傾向があり、長年にわたって幻覚や妄想、果ては離人症や認知症といった症状も現れた。この頃は、”心の病”への偏見も強かったこと、そして牧師として地域のリーダーを務めていたという夫の事情もあって相談できる相手もいなかった。

さらには、長男の素行の悪さや第二次大戦時に末の息子の軍医としての徴用など、そうした夫の介護をはじめとした身内の問題や戦争などが、彼女の心身を疲弊させた。

その心労をさらに積み重ねることになったのは、出版社との関係だった。もともとカナダの各出版社でボツとなり、ようやく出版が叶ったのはアメリカ・ボストンの出版社でのことだった。だが、この時の原稿料に関する契約はモンゴメリにとってあまりにも不利なものとなっていた。

出版社の依頼によって「アン」はシリーズ化していったが、その中の『虹の谷のアン』や『アンの娘リラ』などではアンの子供たちが主人公となっている。これについては、「アン」との訣別をモンゴメリが想定したとされている。

ところで、「アン」シリーズは、「赤毛のアン」を第1作として本編とされる9作、および外伝とされる2作の計11作と見なされている。本編最後のシリーズとなる『アンの想い出の日々』は、もともとモンゴメリが亡くなった当日の1942年4月24日に何者かの手で出版社に持ち込まれたが、大戦真っただ中という事情もあって埋もれてしまい、完全版が出版されたのは実に67年後の2009年になってからとなった。

さて、一方の外伝2作であるが、このうち外伝2作目の『アンをめぐる人々』(1920)については、とんでもないいわくがある。

ページ社からの依頼でアンの短編集を依頼され、外伝1作目である短編集『アンの友達』(1912)が出版された。本作では、執筆されたいくつもの短編から選ばれた形となっていたが、そうなると当然ながらボツのものも存在する。

実は、「アンをめぐる人々」は、この時すでにモンゴメリと契約が切れていたページ社が、作者に無断で保管していた「アンの友達」でのボツ原稿を、一部内容を改竄(かいざん)してまで強行出版したものであった。このことで、モンゴメリは出版社を訴え、本作を決して自分の作品だとは認めなかった。

モンゴメリは、1942年にカナダのトロントにて死去、死因は冠状動脈血栓症とされていた。だが、「赤毛のアン」出版100周年となる2008年、モンゴメリの孫娘ケイトによって、モンゴメリの死は睡眠薬の過剰摂取による自殺だったということが地元新聞社へ語られ、話題となった。

実のところ、モンゴメリの死については当時から自殺ではないかとの噂や証言があったようだが、モンゴメリの生前の日記から、晩年彼女が決して恵まれた人生を送っていないということが徐々に明らかとなり、家族内の事情、戦時下、そして出版社との訴訟といったものが、薬物自殺に至らしめたのではないかという見方が現在では有力視されている。

因みに、日本では翻訳を務めていた村岡が、外伝2作目の事情を把握していなかったということから、「アン」のシリーズに含まれることとなった。これについては、村岡が実際の「アン」本編の最終巻である『アンの思い出の日々』と勘違いしていたのではないかとも考えられている。

なお、モンゴメリ本人を含め海外では基本的に外伝2作とも「アン」シリーズとしては認めていないという。

【参考記事・文献】
https://jisin.jp/entertainment/entertainment-news/1611148/
http://rin2014.blog.fc2.com/blog-entry-112.html
https://blog.goo.ne.jp/erika2672-t/e/223b4abd35e67fff76a57920aa78ec38
http://plaza.harmonix.ne.jp/~usausa/usa40shi/bok/usa41048.html
https://dic.pixiv.net/a/%E8%B5%A4%E6%AF%9B%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%B3
https://chirigiwa.com/?p=4224

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【文 ナオキ・コムロ】

画像『アンの青春 赤毛のアン(2) (講談社青い鳥文庫) (講談社青い鳥文庫 81-3)

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