相棒の名物主人公「杉下右京」のモデルはお笑い芸人の父親だった！？

杉下右京は、刑事ドラマ『相棒』(テレビ朝日 2000～)に登場する主人公の一人。

刑事というよりは探偵と呼ぶにふさわしいのではないかと思えるほどの頭脳を持ち、基本は冷静沈着で誰に対しても敬語で接する紳士的な人物であるが、組織の利害を一切考慮せずに真実の究明のみを好み、またあまりに切れすぎる頭脳ゆえに何を考えているのかわからない言動の多さから「変人」扱いされ、そのこともあってか肩書は窓際部署である特命係となっている。

演じるのは俳優の水谷豊。

その特徴的なキャラクター性から、何かとその言動がファンの間で話題となったり、また彼を模したキャラクターが他作品で登場するといった例が多い。

例えば、スーパー戦隊シリーズ第32作『炎神戦隊ゴーオンジャー』(2008)では、気難しいが頭が回る天才型で「特命係」という部署に所属している「柏木左京」という刑事役が登場しており、テレビドラマ『勇者ヨシヒコと導かれし七人』(2016)には、助けの神の1人として「テレアーサ」という相棒の放送元である”テレ朝”をもじった形で明らかに杉下右京をモデルにしたキャラクターが登場している。

アニメ『ドラえもん』では、コラボ企画ということで「あい棒」(2018)という回に杉下右京・冠城亘が登場しており、声の担当も水谷と反町隆史という実際の演者が行なっている。が、残念なことに、劇中劇での登場だったためにドラえもんと対面をしたわけではなかった。

逆に、『相棒』の中に他作品が登場したことで話題となったものもある。

2017年3月22日のシーズン15最終回2時間スペシャルにて、写真の日付とそこに写る『プリキュア』のシールの年代が異なるという指摘をする杉下右京のシーンがあり、劇中でも「え？少女アニメも得意か？」と問われ「とんでもない。今ネットで調べたんですよ」というやりとりが見られた。

あの杉下右京の口からプリキュアという言葉が出た？！ということで、多くの視聴者が目を見開いた。

さらに、2024年3月のシーズン22の最終回では、『名探偵コナン』という名が劇中で登場したことでも大きな話題となった。

その回では、公園でたまたま近寄って来た少女から「おじさん、コナンとお友だち？ママたちがおじさんのこと『名探偵だわ』って」と話しかけられ、「残念ながらコナンくんとは友だちではありません。ご期待に添えず申しわけありません」と謝る場面があった(因みに、作者の青山剛昌はシーズン9元日スペシャルにて鑑識役として出演したことがある)。

局の壁を超えてすらその魅力を衰えさせないキャラクター性であるが、多くの人々が気になるのは、やはり杉下右京にモデルは存在するのかということだろう。そもそも、右京という名のもとになったのはドラマ『パパと呼ばないで』にて石立鉄男演じる「安武右京」であると言われているが、あくまで名前だけであり性格などについては関わってはいないようである。

ファンの間では、イギリスと縁が深いという事情も含めて、シャーロック・ホームズが最もイメージモチーフに近いのではないかとされているが、頭脳明晰という設定から、エルキュール・ポワロ、刑事コロンボ、そして古畑任三郎といった往来の有名な名探偵キャラがモチーフの一部として組み込まれているのではないかとも推測されている。

いっとき広まったものとして、杉下右京のモデルはお笑いコンビ「ハリセンボン」の近藤春菜の父ではないかというものがあった。

彼女の父は警察官で、しかも警視庁勤務で捜査二課だったという。この噂は、相棒の劇場版第一作「絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン」の公開の時期に広まり始めたものであると言われているが、宣伝の意図でそうした情報が流されたようだ。

この噂については近藤自身も認知し、2023年5月に放送されたフジテレビ『ぽかぽか』内でも父親のことを触れられた際に、「私は絶対そうじゃないと思うんですけど」と語っている。ただ、この噂にどうやら父親の方が感化されてしまったらしく、それまでコーヒー派だったのが杉下右京の愛用する紅茶を飲むようになってしまったとか。