食人行為を行うのみならず、被害者の遺族に己の凶行を克明に記した手紙を送りつけるなどして「吸血鬼」と呼ばれた大量殺人犯が存在する。
アメリカで全米を震撼させた連続殺人犯アルバート・フィッシュである。
フィッシュの被害者は確定しているだけで15人、推定では400人に及ぶとされている。彼は主に幼い子供を狙い、残酷な手段で殺害した後は被害者の遺体を切り刻み、血を飲んだり肉を料理して食べていたという。
1928年6月にニューヨーク州で彼に誘拐された10歳の女の子グレース・バッドのケースでは、彼女が行方不明になってから6年後に家族の家に犯行の様子を記した手紙を送っている。その手紙には彼女を裸にしたところ暴れたため絞殺したことや、肉をオーブンで焼いて9日かけて食べ尽くしたことなどが記されていた。他にも拷問のようなやり方で殺害しシチューにして食べた例等も存在している。
のちにフィッシュは「満月の狂人」(Moon Maniac)、「グレイマン」(Gray Man)や「ブルックリンの吸血鬼」とも呼ばれ、これほどの凶行を犯し、全米を震え上がらせた人物であったが、見た目は凶悪事件とは到底結びつけられない小柄な60代の男性であった
彼は周囲の人々には物静かで優しく、礼儀正しい人物として慕われており、塗装工として全米各地の州に仕事で赴いていた。だが、彼はその裏で凶行を重ねていたのである。
彼は警察の捜査や公判で自分の犯行を証言。被害者をひどく痛め付けた理由について「私はいつも誰かに苦痛を与えたかったし、苦痛を与えられたかった」と述べている。彼は重度のサディストであると同時に苦痛を快感に感じるマゾヒストでもあったのだ。
彼は1936年1月16日に電気椅子によって死刑に処されたが、事前に行われたインタビューで記者に「電気椅子はまだ試したことがない。人生最高のスリルにわくわくしている」と答えていた。2度の電気ショックで彼は死刑となったが、亡くなったフィッシュの遺体は下腹部が黒焦げになっていた。
彼は生前、性器とその周辺に針を刺して自慰にふけっていたそうで、針が残ったままだった下腹部が通電で焼けたものと推察されたのである。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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