娘・阿川佐和子が父・弘之『怒り伝説』証言…「おまえたちの気配が煩い!」

60代で老後婚をした阿川佐和子は、熟年女性の憧れの存在である。タレントとしてもエッセイストとしても、そしてTBS系列で放送された人気ドラマ「陸王」では女優としても輝いて見せた。まさに60代の今、ノリに乗っている存在である。

2018年2月16日、TBS系列で放送された「金スマ」に阿川佐和子が出演し、父である作家・阿川弘之について興味深いエピソードを披露した。

阿川とにとってとにかく父親は怖い存在であり、子供時代の父の思い出と言えば、怒られたエピソードばかりだ。

基本、父は1日中家におり、特に執筆中のときは、阿川は家の中を忍び足で歩いた。ある時、家族が息を殺していると、父親がやってきてこういった。

「お前たち、うるさいぞ!」

母親が子供をかばうように返答した。

「お父さん、この子たちは静かにしてましたよ」

すると父親はこんな風に言い返した。

「お前たちの気配がうるさいんだ」

また、ある日ご近所からいただいたイチゴを見て、阿川がこうつぶやいた。




「生クリームで食べたいなぁ」

その一言を聞いた父親が顔色を変えて激怒した。

「お前は、なんて贅沢なことを言うんだ」

「・・・」

子供心にも何もそこまで怒ることないのにと思ったという。

また阿川の誕生日の出来事、家族で外食に出かけた。たいそうおいしい食事であったのだが、外に出た途端、ひどく寒さを感じた。思わず、阿川が一言つぶやいてしまった。

「寒い」

その瞬間、父親が激怒した。父親にしては、「ありがとう」を言う前に「寒い」と言う言葉が出たことが許せなかったのだ。




さらに試験の前日の出来事、明日に備えて勉強がしたかったのだが、父親が晩酌の相手をしろと言う。しばらく、相手をしていたが「明日試験があるから」と説得し二階の自分の部屋に上がった。その後、父親はおとなしくナイター中継を見ていたが、阿川の同級生から自宅に電話がかかってきた。

「吉田といいますけど、佐和子さんいらっしゃいますか?」

ナイター観戦を邪魔された父親は激怒した。電話をかけてきた同級生にも聞こえるような大声でこう叫んだのだ。

「おーい、佐和子!吉田という馬鹿から電話だぞ!」

同級生との電話が終わった後、阿川は父親によって家の外まで追い出されてしまった。しかたなく、阿川は裸足で友達の家まで行った。すると父親から友達宅に電話がかかってきて「早く自宅に帰ってこい」といぅ。自分で追い出しておいて、なんて父親だと思ったが、とにかく自宅に帰ることにした。しかし、その後三日間口を聞いてくれなかった。結局、阿川は父親に謝ることになった。

昭和の作家らしい、なんとも素敵なエピソードではないか。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像『阿川佐和子の世界一受けたい授業―第一人者14人に奥義を学ぶ (文春MOOK)

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