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「がんばれ!レッドビッキーズ」 演者もよくわかっていなかったビッキの意味?!

『レッドビッキーズ』は、石森章太郎(現・石ノ森章太郎)原作、東映製作のテレビドラマシリーズ。女性監督と少年野球チームの活躍を描いた作品であり、1978年に「がんばれ!レッドビッキーズ」、1980~82年に「それゆけ!レッドビッキーズ」が放送されている。

本作第1シリーズのタイトルは、1976年に公開されたアメリカの野球映画『がんばれ!ベアーズ』がもとになっている。

大ヒットしていたこの映画は、弱小野球部が奮闘しながらも勝ち抜いていくという活躍を描いた作品であったこともあり、本作もそれを踏襲した形で、野球の基礎すらよくわかっていない上、一癖も二癖もある少年たちが試合を重ねていくにつれて少しずつ成長していく様を描いている。

「レッドビッキーズ」の名前については、女監督ということの象徴として「赤」が作中でもあっさりと決定しているが、「ビッキ」についてはさらにあっさりと決まってしまっている。

そもそも「ビッキ」とはカエルを意味する方言であり、作中でも主人公が「ビッキーズの意味わかる?」とのちにコーチとなる男性に聞き、「ヒキガエル。俺の田舎じゃそう呼んでる」と答えるシーンがある。

ビッキ呼びは主に東北であり、これは石ノ森の出身地が宮城であることからも推察できるが、本作では「ビッキ=カエル」であることが、ほぼ断りなしに決定事項となって進行している。

出演していた林寛子ですら、インタビュー時に「ビッキーズがなぜカエルなのか」を問われて「知らない」と答えたとか。

なお、カエルが選ばれたのは、書の三蹟の一人としても知られる平安時代の貴族・小野道風のカエルの逸話に由来するという。
ある時、書道を諦めようとしていた道風がある雨の日に散歩していると、カエルが柳に飛びつこうと何度も飛び跳ねる様子を見かけた。

どうせ無理だろうと眺めていた道風だったが、その時たまたま風が吹き、そのタイミングでしなった柳にカエルは見事飛び移ることができた。それを見た道風は、自分はカエルのような努力をしなかったと気が付き、書道をやり直すようになったという。

花札の絵柄にもなっているこの逸話は、史実かどうかは不明ながら知名度も高く、まさしく弱小の野球部が成長していく様に相応しいものであった。

【参考記事・文献】
https://x.gd/mesRn
https://x.gd/vDOvn
https://middle-edge.jp/articles/I0002636
https://kaeruclub.jp/kaeru/media/tv/bickies.html

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【文 イトフゆ】

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