TBS系列で日曜午後9時から放送されているドラマ『この世界の片隅に』が絶好調だ。
7月29日に放送された第3回は関東地区の平均視聴率9%と高い視聴率を稼ぎ出したほか、ドラマの舞台にもなっている広島地方では、なんと最高22%の高視聴率を記録。今期において話題ナンバーワンのドラマとなっている。
さらに、テレビドラマ版に先立つこと2年前の2016年に公開された劇場版アニメは監督を務めた片渕須直氏の手により、30分の追加映像を含めた『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が制作・公開されることが10月より上映されることが決定した。
世間はまさに『この世界の片隅に』ブームといっても過言ではない。そのような事情からも、今世間では再びこの作品に再度注目が集まっているという。
それが、2011年に制作された単発ドラマ『終戦記念スペシャルドラマ この世界の片隅に』である。
ファンには有名な話だが、『この世界の片隅に』は劇場アニメ版が制作される5年前に単発ドラマが日本テレビにより作られている。主役の北條すずを演じたのは北川景子で、放送当時はあまり大きな話題にはならなかったものの、こちらも根強いファンがいる。
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ところが、単発ドラマ版はこの一年ほどは、日本テレビの手により『封印作品』に近い扱いをされてきたという。
原因は北條すずの夫である北條周作のキャスティングだ。演じたのは俳優の小出恵介である。小出は既報の通り2017年6月に17歳の女子高校生との飲酒及び不適切な関係を持ったことが報じられ、芸能活動休止状態となっていた。
そのため、約一年間、日本テレビはいくら『この世界の片隅に』がブームでも単発ドラマ版の映像を世間に紹介することができなかったのである。
ところが、TBSのドラマ版が人気となり、同時に小出恵介の不祥事も一年が経過し世論も緩和されたのか、日本テレビが運営する動画配信サイト『Hulu』にて7月後半よりこの単発ドラマ版『この世界の片隅に』が初配信された。
今回の配信は日本テレビによる便乗企画とも言えるが「単発ドラマ版も見てみたい」とするファンは非常に多いために、こちらも視聴回数を伸ばしているという。
なお現在、TBSドラマ版と劇場アニメ版は両者の間で静かな争いが続いている。
現在放映中のTBSドラマ版にはエンドクレジットとして劇場版アニメの製作委員会への「スペシャルサンクス」が記載されているが、この表現に対して劇場アニメ版は「本委員会は当該ドラマの内容・表現等につき、映画に関する設定の提供を含め、一切関知しておりません」と、まるで有難迷惑を表明するような一文をTwitterに掲載している。つまり、劇場アニメ版はTBSドラマ版のことを快く思っていないようなのだ。
そのうえで、今回の騒動に日本テレビ制作の単発ドラマ版まで登場してくると同時に、現在では北條すずが3人いる状態になり、一部では「この世界の片隅に」を巡る「三つ巴の戦い」とも揶揄されているようだ。
反戦を描いた物語であるにもかかわらず、この戦いは穏やかではなさそうだ。
(文:アリナックス城井 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)