剣闘士の闘いでは、人間だけでなく野生の動物と闘うこともしばしばあった。
古代ローマの剣闘士たちが、かつて闘技場でライオンやトラなどの野生動物と対決していたことは歴史的な記録から知られている。しかし、実際にそうであったことを証明する物的証拠はほとんど見つかっていない。
ところが最近、考古学者たちが、かつて剣闘士の埋葬地があったと考えられていたイギリスのヨークにあるドリフィールド・テラスで発掘された人骨を改めて調査したところ、この状況は一変した。
特に注目すべきは、骨格の骨盤の骨の1つに噛まれたような跡があったことだ。
アイルランドのメイヌース大学の法医学人類学者であるティム・トンプソンは、1990年代の最初の発掘当時にはなかった現代の技術を用いて、これらが実際には大型の肉食動物(おそらくライオン)の噛み跡であることを突き止めた。
しかも、その跡はその人物の死亡時期とほぼ一致している。
これは、ローマ帝国時代の剣闘士が闘技場で大きな野生動物との戦闘に従事していたという、歴史的記録が示唆していることを本質的に裏付けている。
また、このような戦いがローマのコロッセオだけに限定されたものではなかったことも示している。
「おそらく(ローマ時代の英国からの出土品は)ローマで起きていたことを反映したものにすぎず、ローマ神話を利用しているのではないか、というのがこれまでの仮説でした」とトンプソンは言う。
「私たちが今示唆しているのは、実際のところ、この光景が(ここヨークで)起きている証拠があるということです」
What a headline!
Lion Bite to the Butt May Be First Proof of Human-Animal Gladiatorial Combathttps://t.co/R0AORtYv8m
h/t @rogueclassicist
— Carolyn (@Carolyn_on_X) April 24, 2025
【アトラス関連記事】
古代の子供の落書きを発見!子供たちは剣闘士の血みどろの闘いを見ていた?
【文 黒蠍けいすけ】
画像 PIXABAY