最近、ある陰謀論が流布している「再稼動に慎重だった米山隆一新潟県知事は、原子力利権を貪る原子力村にハメられた」という説である。
あくまで陰謀論であって、フォークロアや都市伝説として捉えるのが、大人の考え方だ。しかし、これでまた新潟県知事選挙をした場合、原発再稼働慎重派の擁立が困難になり、原発推進派が勝つ可能性が出てきた。原発再稼働に慎重であるというスタンスで選挙に出た場合、また週刊誌に醜聞を書き立てられるとなると、誰しも立候補には腰が引けてしまうだろう。
米山知事が交際していた女子大生に会った際に、タクシー代やお小遣いとして数万円を渡していたのは事実であり、あまり褒められたものではない。もちろん、違法行為である可能性もないとは言えない。
しかし「10万円少々で週刊誌にかつての交際相手を売る女」というのもいただけない。この女子大生もまたバッシングされても仕方ないのではないだろうか。
また、陰謀論者の中には、この交際自体がハニートラップだと主張する者もいるが、さすがにそこまではないだろう。
週刊誌がクリーンなイメージの強い米山知事のスキャンダルを探していて、たまたまこの女性を見つけたというのが真相だろう。問題なのは、何故日本中に多くいる県知事のうち米山知事を狙ったのかという事である。他にもクリーンなイメージで売っている県知事や、庶民派で売り出している県知事は多い。
米山知事は東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に対して慎重なスタンスをとってきた。それゆえに週刊誌に狙われたのであろうか。その可能性がないわけではないと筆者が思っている。
週刊誌の誌面を見ていると、東京電力を筆頭に日本の名だたる企業が広告を出稿している。原発で大きな利益を得ると言われている大企業のTやM関連の広告も見受けられる。彼らが週刊誌に「米山知事のスキャンダルを探せ!」などとけしかけたとは断定できないが、何らかの忖度があったのかもしれない。週刊誌による広告スポンサーへの配慮や忖度は現実問題として存在する。
なお筆者は、日本中の原発をすぐ廃炉にしろと言う過激な考え方は持っていない。100年近くかけて、代替エネルギーを確保し、段階を追って原発のウェイトを落としていくのが得策だと考えているのだ。
「県知事辞任に伴う新潟県の県知事選挙」は、いかなる結果を迎えるのであろうか。新潟県の県民はそれぞれの意思を持って、それぞれの自己判断による冷静な投票を心がけるべきである。
(山口健太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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