『ジャンボーグA』は、1973年に放送された円谷プロ製作の特撮テレビ番組、そしてその作中に登場するヒーローの名称である。グロース星人の地球侵略に立ち向かうべく、主人公・立花ナオキがエメラルド星人から託された巨大ロボット「ジャンボーグA」を操縦して戦うというストーリー。
「ウルトラマンタロウ」や「ファイヤーマン」などとともに、円谷プロ創業10周年記念で製作された作品の一つであり、また「ミラーマン」の製作スタッフが多く参加し、また「ミラーマン」の登場人物が本作に登場したこともある。
本作は、タイでも放送されて好評を博しており、あのタイの映像制作会社チャイヨー・プロダクションと円谷プロの合作映画『ジャンボーグA&ジャイアント』も製作された。
チャイヨーは、1974年に『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』(原題『ハヌマーンと7人のウルトラマン』)という円谷プロとの合作映画を制作したことでも知られており、本作はウルトラマンや仮面ライダーよりも早くにタイ進出を果たしていた作品となっている。
しかし、このチャイヨーは円谷プロにとっては非常に苦い経験をすることになるタイの制作会社だった。両者は、はじめこそ良好な関係にあったものの、円谷プロの当時3代目社長である円谷皐が死去した矢先、1966年にある事実を明かしたことで一大騒動へと発展した。
それは1976年に結ばれたという、円谷皐とチャイヨーの創業者ソムポート・セーンドゥアンチャーイとの間に、「日本を除くすべての国においてウルトラシリーズなどを無期限かつ独占的に使用することを許諾する」という契約書の存在であり、この通称「76年契約書」と呼ばれるものをチャイヨーが主張したことで、円谷プロとの関係が悪化してしまった。
その契約書の中で挙げられていたものの中に、「ジャンボーグA」も含まれていた。結果的には、チャイヨーの76年契約書も偽造であると判断されたことで、円谷プロが全面的に勝利することとなり、著作権は円谷プロのみが持つということで決着しているという。
本映画では、ジャンボーグAとジャイアントが仲間割れをおこして戦うシーンもあるというが、のちの騒動による両制作側の関係を見ると、それを予見していたようにも思えてくる。
ちなみに、日本では未公開の映画になっているが、後年に発売されたジャンボーグAのLD-BOX下巻にて一部が特典映像として収録されており、これが日本で確認できる唯一のフィルムとなっているという。
【参考記事・文献】
・https://plaza.rakuten.co.jp/jyoudankeri/diary/201611280000/
・https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/13895.html
・https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/13895.html
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【文 ZENMAI】
画像『ジャンボーグA VOL.1/円谷プロダクション(制作)立花直樹石田信之大橋一元菊池俊輔(音楽)ジャンボーグA VOL.1/円谷プロダクション(制作)立花直樹石田信之大橋一元菊池俊輔(音楽)』