『ウルトラシリーズ』で知られる株式会社円谷プロダクションは、4月24日、ウルトラマンシリーズの海外展開での著作権に関連する訴訟について、円谷プロダクションの主張すべてが認められるという、完全勝訴の判決が米カリフォルニア州連邦地裁で出たことを発表した。
これは1996年前後から勃発していた、タイの制作会社「チャイヨープロダクション」が海外での使用権を主張し、国際裁判に発展(円谷プロが敗訴)した後、チャイヨープロが倒産したことで海外のウルトラマンの権利が一時的に分散。その後、権利を手に入れた中国の某企業が2017年にウルトラマンの新作映画を円谷プロに許可なく制作した事件もあり、「海外のウルトラマン問題」は近年再びクローズアップされていた。
この度の勝訴により、円谷プロは約20年ぶりにウルトラマンに関する全権利を取り戻したことになる。
このこと自体は喜ばしいことなのだが、ファンの間では「もう少し早く解決できなかったのか…」と思わず悔し涙を流したウルトラファンが多く存在したという。
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彼らが一様に残念がっているのは2018年3月より全世界で公開している大作映画『レディ・プレイヤー1』(監督:スティーブン・スピルバーグ)のことである。
この作品には『ジュラシックパーク』のティラノサウルスや、『グレムリン』、『バットマン』に『ロボコップ』といった全世界の人気キャラクターが出演している。それらのなかには日本のキャラクターも含まれており、『デジモン』や『キティちゃん』『機動戦士ガンダム』なども姿を見せている。
実は『レディ・プレイヤー1』の原作小説である『ゲームウォーズ』には、日本を代表するキャラクターとしてウルトラマンが登場し、かのゴジラシリーズの人気怪獣・メカゴジラとの熾烈な争いが描かれているのだ。
この「夢の対決」に円谷プロは使用許可を出していたが、前述のチャイヨープロとの著作権問題があったため、結果的にウルトラマンの出演は叶わなかったという。
そのため、もう1年ほど解決が早ければ『レディ・プレイヤー1』には「ウルトラマンVSメカゴジラ」というスペシャルマッチがスティーブン・スピルバーグ監督の手で演出されたはずである。
また先週末から公開された『レディ・プレイヤー1』のあまりに面白すぎる内容が、遅すぎた著作権問題解決で落胆していたSFファンを「ウルトラマンがこれに出演していたらば…」と更に奈落の底に突き落とす結果となったようだ。
(文:アリナックス城井 山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)