以前、アトラスでは「動く生首の掛け軸」について紹介した。
あの生首の絵に関しては、恐らく霊の仕業などではなく、また実際に動いた訳ではないであろう事を説明させて頂いたが、著名な人物の描いた絵や、執念や迫力の感じられる名作は、今にも動き出しそうな、命が宿っているような印象を受けてしまうものである。
じつは「瞬きする絵」は他にも存在している。それは「恐怖新聞」や「うしろの百太郎」等の名作を世に送り出した、漫画家にして心霊研究家のつのだじろう氏の描いた「座敷わらし」の絵である。
この座敷わらしの絵は、平成21年に火災で全焼したものの、今年再建されて営業再開となった座敷わらしが出る事で有名な宿「緑風荘」に奉納されたものである。
有名な「緑風荘」に出る座敷わらしは名前を「亀麿」といい、わずか6歳で病気で亡くなってしまったこの家の男の子だったという。つのだじろう氏も緑風荘に宿泊した際、座敷わらしを目撃したと言い、自分の見た座敷わらしの姿を絵に描いたのだ。そこには、白い服を着てこちらに手を振ってみせる、あどけない子供の姿が水彩で描かれている。
この絵は旧・緑風荘が現存だった頃に何度かテレビで公開されている。だが、あるテレビ番組で紹介されたとき、この座敷わらしの絵が確かにまばたきしたのである。
やはりホラー漫画の第一人者が描いた絵には、何かが宿ってしまうのだろうか?
だが検証の結果、恐らくこの絵も光の加減によって瞬きしたように見えたのではないかという説が出てきている。
この絵は鉛筆と水彩絵の具で描かれているようなのだが、絵画に使用される鉛筆は芯が濃く柔らかいものが多い。目の部分を濃く鉛筆で描き、さらにその上に水彩絵の具を塗る事で、普通の紙の部分より光を反射しやすくなっていたのではないかと見られているのだ。
実際、後年のテレビ番組がこの絵の謎に挑戦し、同様の方法を試して見事瞬きしているように見える様子を動画で撮影する事に成功していた。
ただ、この実験も絶妙な角度と光の加減が必要なため、偶然動いたように見える一瞬が捉えられたのはやはり非常に珍しい出来事であったと考えるべきであろう。
もしかしたら、この偶然も座敷わらしが演出したものだったのかもしれない。
なお、ATLASでは座敷わらしに関するアーカイブを幾つか紹介している。原田龍二、座敷わらし好きなのに不幸に!?、置き薬のビルディングに座敷わらしが住んでいる、緑風荘の座敷わらしは2人いる?、SNSで拡散座敷わらしの写真、シェアすると幸せになれる?、新潟の越後湯沢に座敷わらし出現!老夫婦の家に泊まろうとした、緑風荘から飛んできた半透明の球、 などである。
(加藤文規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)