『北の国から』は、脚本・倉本聰、主演・田中邦衛による日本のテレビドラマシリーズである。北海道の大自然の中に暮らす黒板五郎(田中)と2人の子どもたちの成長を描く物語であり、1981年から82年まで全24話の連続ドラマとして放送され、その後1983年から2002年まで8編のドラマスペシャルが放送された。
さだまさしによる主題歌の雰囲気とは裏腹に、本作の撮影は演者が”地獄”と比喩するほどにきわめて過酷なものであったという。これは、演出(監督)杉田成道の影響によるものであった。杉田は、「大きな嘘はついても小さな嘘をつくな」という倉本の言葉を受け、リアリズムを徹底させた形で撮影に臨むことになったという。
些細な動作の場面であろうと何十・何百にも及ぶリハーサルをして、なおも30~40テイクは当たり前だったほか、屋外撮影では晴れ・曇り・雪の3バージョンを撮るようスケジュールが組まれたほどであるという。これらはほんの一例に過ぎない。
こうした本作における撮影の凄まじさは、純役の吉岡秀隆が台本に「杉田死ね、倉本死ね」と書いていたという逸話や、蛍役の中嶋朋子がトークショーにて発言した「監督は鬼で悪魔だった」ということからもうかがえるだろう。
詳しく例を挙げると、撮影に対する徹底ぶりがよくわかる。
連続ドラマ版の第21話、ここれは、草太兄ちゃん(岩城滉一)がボクシングをしてノックアウト、気絶するというシーンが展開されているが、なんとこのボクシング試合はガチンコで行なわれたものであり、彼は本当に気絶をしていた。しかも、この撮影のためにガッツ石松の下でスパーリングの稽古を受けていたという。撮影後、彼は本当に搬送された。
こうしたものはいわば序の口でしかなく、マイナス20度の川に入る、天気待ちならぬキツネ待ち、別れのシーンであらかじめ演者に全力疾走させてからトラックを追って走らせるなど、その演出は地上波ドラマでありながら映画さながらの雰囲気であった。
また、演者などのエピソードがそのままシーンとして活用されるケースも多かったという。
『’89帰郷』にて、純が「俺は不良じゃない!」と電信柱を殴り、手の甲から流血するというシーンがある。これ実は吉岡自身の実話であり、倉本が吉岡の母親に取材をして聞いた内容を、杉田が取り入れたものであったという。
『’95秘密』では、医師と不倫して駆け落ちをする蛍が描かれているが、当時中嶋は蛍のイメージから離れたいという葛藤を抱いていた時期であり、それもあって雑誌のグラビアでは彼女の大胆な姿の写真が掲載されていた。これを見た杉田らは「これですよ!」といった具合で、”純愛とは言えない”イメージ、いわば不倫という要素を取り入れたのだとか。
【参考記事・文献】
・https://dic.pixiv.net/a/%E5%8C%97%E3%81%AE%E5%9B%BD%E3%81%8B%E3%82%89
・https://news.mynavi.jp/article/20200205-kitanokunikara/
・https://news.mynavi.jp/article/20180525-635660/
・https://www.sankei.com/article/20200218-NXVOQMDOA5KVRJTSKWEPWJKQJQ/
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【文 黒蠍けいすけ】
画像『北の国から』