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「千葉真一」ジャッキー・チェンも憧れたアクションスターとしての栄光とその影

千葉真一は、日本の俳優であり、日本アクションスターの草分け的人物として知られる人物である。特撮番組『新・七色仮面』や『アラーの使者』などの主演によって俳優としての頭角を現し、東京を舞台に凄腕の諜報員が青く勢力の陰謀を阻止するため戦いを繰り広げるドラマ『キイハンター』によって、アクションスターとして不動の地位を築き上げた。

1974年に公開された映画『激突!殺人拳』は海外でも絶大な人気を博し、「サニー千葉」と呼ばれブルース・リーに次ぐ格闘技映画のスターであったとの声もある。その他、『柳生一族の陰謀』をはじめとして『魔界転生』など時代劇にも活動の舞台を広げ、『影の軍団シリーズ』の服部半蔵は十八番であった。

元々彼は、器械体操でオリンピック出場を目指していたスポーツ万能少年であったが、練習中のケガやアルバイトでの肉体の酷使が祟ってドクターストップとなり、夢を断念せざるを得なかった。そんなある時、東映の募集広告を見かけたことで興味を持ち、友人の勧めも相まって応募、なんとトップの成績で合格。

アクションに関しては並々ならぬこだわりを持っており、生身の肉体を駆使してのアクションを好んでいたと言われている。走る機関車に飛び移る、滝壺に落下する、離陸寸前のセスナにしがみつくなど、驚くべきアクションをスタント無しでこなしていたという。

俳優から一線を退いた後は監督としても活躍しており、スタント無しのアクション映画俳優と言えばジャッキー・チェンも知られているが、そのジャッキーが憧れていた人物こそ千葉真一であり、日本に来て千葉と話した際、「アクション映画で俳優がスタントマンを使うのはおかしい、自分で全てできなければ降りるべき」という発言に、深く感銘を受けたそうだ。

ジャッキーがスタントを使わずに過激なアクションをこなしていったのは、千葉真一の存在無くして成立し得なかったと言っても良いだろう。

映画『キル・ビル』の監督であるクエンティン・タランティーノをはじめとして、キアヌ・リーヴス、サミュエル・L・ジャクソンなど、千葉の大ファンであることを公言している人物は非常に多い。キアヌは「マトリックス」の格闘シーンや「47RONIN」の殺陣のシーンにおいて、サミュエルは「アベンジャーズ」における役作りに千葉を大いに参考にしたと言われている。

ただ、その栄光の裏では金銭における問題も発生していた。監督を務めた作品の不入りや、開校した俳優養成学校などによる、負債や金銭トラブルが積もりに積もり、彼は億単位の借金を抱え続けていた。彼の急死によってそれらの借金は完遂されずにおり、死去後に借金の取り立てが自宅に殺到したほどだったとも報じられている。

合計で1億超ということで、周囲が心配するほどの巨額ではなかったものの、彼の死後に残った財産も預金の数千万にとどまり、骨董品や美術品も無いため負債の埋め合わせには到底及ばず、2022年には千葉地裁によって破産開始も決定したという。資金のほとんどを映画の企画や制作・準備に使用したほどに映画一筋で生きた千葉真一であるが、その死後はスターの輝きと共に経済的な影を共に遺すことになったようだ。

【参考記事・文献】
千葉真一
https://dic.pixiv.net/a/%E5%8D%83%E8%91%89%E7%9C%9F%E4%B8%80
ジャッキー・チェンが「スタントなし」を学んだ日本のアクションスターは?
https://ohtabookstand.com/2018/02/5022411/
世界的アクションスター、千葉真一さんを偲んで
https://broadwaycinema.jp/_ct/17476579
千葉真一さん“億超え借金”の代償…実子3人は相続放棄で形見分けもナシ
https://jisin.jp/entertainment/entertainment-news/2030629/
初公開「千葉真一」遺産の全容 債権者が明かす「死後“破産”と意外だった借金額」
https://www.dailyshincho.jp/article/2022/12111103/?all=1

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【文 ZENMAI】

画像 ウィキペディアより引用