つば九郎は、プロ野球球団である東京ヤクルトスワローズのマスコットキャラクター。
スケッチブックを利用した毒舌や、マスコット対決などで見せる腹黒さ、自重しない”悪行”の数々などから、ネット上で「畜生ペンギン」と称されたが、中日ドラゴンズのマスコット・ドアラと並びプロ野球ファンのみならず多くの人々に親しまれ愛されている。
2025年2月、「つば九郎を支えていた担当者」の逝去に伴い当面休止が発表されたことは記憶に新しい。
デビューは1994年で、2019年に25周年を迎えている。
球団マスコットとしては唯一ユニフォームを着用していない珍しいキャラクターであり、また先の”あだ名”(畜生ペンギン)からもわかるように、ツバメであるもののその体型により(特に子供たちから)ペンギンと勘違いされることが多く、それを理由に減俸されたこともある。
好き勝手やりたい放題な印象が目立つものの、2022年8月に球団マスコットとしては初の快挙となる「通算2000試合出場」を達成したほか、都内23区を巡って都内安全啓発およびファンサービスを行なった「つばさんぽ」の企画・決行や、スワローズのみならずプロ野球選手の引退に際してはブログにて真面目にコメントを寄せるなど、野球やそれ以外の面でも多くの活躍をみせた。
そんなつば九郎だが、あるキャラクターのせいでセクハラの冤罪を受けるという風評被害を受けたことがある。
発端となったのは、元スワローズ球団マスコット・燕太郎(えんたろう)。
燕太郎は、2005年にデビューしたキャラクターであり、体はユニフォームを着たスリムな体型でありながら、顔がつば九郎と瓜二つであるものの、全く血縁関係のない赤の他人である。
2014年に「卒業して普通のツバメに戻る」と明かし、惜しまれつつも引退をした伝説のマスコットだ。
“伝説”と称される理由は、オリックスバファローズの球団マスコットであるバファロー・ベルに対する燕太郎の行動にあった。バファロー・ベルは、2011年にデビューしたキャラクターであり、そのあまりに可愛らしいデザインから数多くのファンイラストが描かれている。
そんなベルに対し、燕太郎がたびたびちょっかいを出すシーンが頻繁に見られるようになり、スワローズのYouTube公式チャンネルでは、その場面をとらえた「燕太郎 キモキモ動画」なる動画もアップされた(現在は削除されている)。
その後も、燕太郎の行動はエスカレートしていき、抱き着いたり、果てはベルのスカートを覗いたりなど過激化していったものの、この副作用によってますますベルが注目されるようになっていった。
ところが、2011年8月2日に配信された日刊スポーツ紙面では、このセクハラを行なったのが「つば九郎」だと記述されてしまった。しかも、日本のみならず、海外でも「つば九郎は”エロ燕”とあだ名されている」などと虚偽情報がなされてしまったこともある。
このことについては、つば九郎も「えんたろうのせいでおれがへんたいあつかい」と遺憾の意を表明していたが、一方の燕太郎は先の動画に対して「いんぼうにちがいない。これは、えんたろうではない。」とブログで反論していたという。
一説では、燕太郎の引退は度重なるベルへのセクハラが原因だったのではないかとも噂されているらしい。ただいずれにせよ、つば九郎にとってはとんだ冤罪であったことには違いない。
【参考記事・文献】
・https://www.nikkansports.com/baseball/news/p-bb-tp0-20110802-814369.html
・https://dic.pixiv.net/a/%E3%81%A4%E3%81%B0%E4%B9%9D%E9%83%8E
・https://dic.pixiv.net/a/%E7%87%95%E5%A4%AA%E9%83%8E
・https://yakyuburo.com/kyuudan-mascot/entarou.html
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【文 ナオキ・コムロ】
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