円広志は、タレント・シンガーソングライターとして活動する人物。
現在、特に関西ではテレビタレントとして高い知名度を誇っているものの、全国的にはいわゆる「一発屋」の代表的な人物としても認知されている。
これは、1978年に発表された彼のデビュー曲『夢想花』が80万枚のセールスを叩き出す大ヒットを記録したものの、その後歌手としては全く鳴かず飛ばずであったこと、そのことをイジった島田紳助や上沼恵美子などの発言が広まったことで強まったと言われている。
実際、「夢想花」後の落ちぶれは相当にひどかったようであり、コンサートチケットがあまりにも売れないため、ダフ屋ですら「大損させる気か」と怒鳴り込んできたこともあったという。
だが一方で、作曲家としての活動も行なっており、大ヒットとなった森昌子の『越冬つばめ』をはじめとして多くの提供曲もあり、またテレビ番組『探偵!ナイトスクープ』のテーマ曲やCMソングも手掛けている。
彼をタレントとして見出したのは紳助であると言われている。
歌手としてデビューしてからおよそ10年後には紳助のお膳立てもあったことでタレントとして復活を遂げ、彼の番組をはじめとして上沼、やしきたかじんの番組の多くに準レギュラーとして出演していた。
たかじんのコンサートに乱入した際には、2時間延々とトークしてしまったことでプログラムを狂わせてしまったという、やはりタレントとしての才覚が強かったのであろう逸話も残る。
そんな円広志が、体験したという奇妙な話がある。
ある時、仕事の関係で東村山に十日間ほど宿泊することになり、飛び込みで旅館街の宿を一軒ずつ聞いて回っていた。しかしどこも満室とのことで断られ続けたが、ついに端にあった一軒の旅館に泊まることができた。
その旅館は、なぜか宿泊客が一人もいなかったというのだが、作曲の仕事ということもあったために好都合だと彼は考えた。しかも、素泊まりで食事なしだったものの一泊1700円という破格の安さでもあったことから、喜んで十日間の宿泊を契約。
二階に上がると、80~100畳はあろうかという大広間、その周りを取り囲むように個室が並んでおり、彼はすぐさま部屋に入って作曲作業を始めた。
午後9時ごろになると、家が近所だからと宿の主人たちも帰ってしまい、旅館には正真正銘彼一人が残された状態に。しばらくすると、大広間の方から何やら音がしてきた。それも大勢が走り回っているようなシャカシャカ、タカタカとした音だった。
奇妙に思い部屋の襖を開けたが、目の前は真っ暗で人一人の気配も無く、再び襖を閉めるとほどなくして再び人が移動しているような音がし出した。
どうにもおかしいと思った彼は、大広間からではなく外からの音かもしれないと考え窓を開けてみると、なんとそこにはたくさんの墓石があったという。
彼がいた部屋は二階だったが、実は旅館の裏側が高台になっており、一面墓地が広がっていた。あまりにも恐ろしくなった彼は、すぐさま旅館から脱出しようと思い立ち、出口と部屋の往復をしないよう両手いっぱいに荷物を持って逃げたという。
この話は、当人もたびたび語っている話として知られているが、この話が実話であるかについては懐疑的な意見もある。
第一に、円が語っている東村山とは東京都の多摩地域北部にある市のことなのかという疑問がある。なぜなら、志村けんの生まれ育った地として知られる東村山市は、特に観光地というわけではないため、旅館が立ち並ぶような旅館街と呼べる場所は後にも先にも無い。
このことから、彼の語る東村山は山形県の「東村山郡」であり、その近辺の天童市や寒河江市であれば温泉もあり旅館が多く存在しているとの考察もある。
ともあれ、八代亜紀の体験でも知られるような心霊的な現象が起こりやすい旅館という舞台に、ビートたけしが若い頃心霊現象に悩まされたというアパートの話にあるような窓の外に広がる墓地という情景と、非常にシチュエーションが盛り合わせとなった恐ろしい話ではある。
【参考記事・文献】
・https://dic.pixiv.net/a/%E5%86%86%E5%BA%83%E5%BF%97
・https://dic.nicovideo.jp/a/%E5%86%86%E5%BA%83%E5%BF%97
・https://www.sanspo.com/article/20170829-M4CYDLAXXJLFNGYOUI2QA3EGCA/
・https://fumibako.com/kowai/story/talent/119.html
・https://kyouryuub.hatenablog.com/entry/2023/04/22/210551
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【文 黒蠍けいすけ】