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現在では復活困難?!ドリフ裏番組と競い合った伝説の「オレたちひょうきん族」

オレたちひょうきん族は、1981年から89年まで放送されていたバラエティ番組である。

ビートたけし、明石家さんま、島田紳助といった面々がレギュラー出演しており、「タケちゃんマン」「ひょうきん懺悔室」など、数々の名物コーナーを生み出した。

放送時間帯は、かのザ・ドリフターズ出演の『8時だョ!全員集合』が裏番組として存在しており、そちらを強く意識していた番組構成をしていたという。

例えば、音楽番組「ザ・ベストテン」のパロディコーナーである「ひょうきんベストテン」が番組前半に放送されていたのは、全員集合のメインコントが前半であり、そのあとに番組の目玉である後半の「タケちゃんマン」を観ることができるよう配慮したためだと言われている。

ビートたけしによれば、いかに全員集合に”勝てるか”を念頭に置いたコント作りに専念しており、その結果、生放送ではなく頑として収録、緻密な台本ではなくほとんどをアドリブもしくはハプニングでつなぎ合わされているなど、全員集合の手法とは徹底して真逆の戦略でコント作りがなされていったのだという。

ブッチー武者が神様役として登場していた「ひょうきん懺悔室」も、肝心のジャッジについては台本もなく全て彼一人に一任されていたという。

とは言え、その撮影現場は非常に過酷なものであったと言われている。

全員集合も、地獄の長時間会議と呼ばれるものがあったことは有名だが、明石家さんまによれば、朝10時から深夜0時までカメラを回し続けたという日も珍しくはなく、しかもその中で使われる映像は30分にも満たないほどであったという。このため、絶対放送されるであろうフリの部分に注力したという。

明石家さんまと言えば、タケちゃんマンにて「ブラックデビル」「ナンデスカマン」「知っとるケ」「パーデンネン」など数々の怪人に扮して人気を得ており、中でも「アミダばばあ」のメインソング『アミダばばあの唄』は桑田佳祐が作詞作曲を担当した。これは、楽屋でたまたま二人があった際に明石家さんまが軽いノリで依頼し、桑田も二つ返事で了承したことで実現したという。

この時は、明石家さんまにドキュメンタリーのカメラが密着しており、しっかりと映像におさめられたという。その一方、桑田が他人に曲を書き下ろさないというポリシーで活動していた時代でもあったことで、のちのち大騒動になったとの逸話もある。

こうした経緯があるからかは定かではないが、アミダばばあはタケちゃんマンに唯一勝利した怪人にもなっている。

また、ひょうきん族に絡む有名な話では、ビートたけしが「お化けが出た」という理由で収録を休んだというものがある。

これは、彼が休みたいことの口実であったという事情が濃厚であるが、メイン演者の唯一の女性であったという山田邦子によれば、「車のシートベルトが開かないから収録に行けない」というケースもあったらしい。

その山田邦子は、当時、時代劇にも出演していた関係から、あまりの多忙さとカツラの付け外しによって髪がボロボロになり、丸坊主になったこともあった。このことは、当時ワイドショーでも連日取り上げられるほどの騒動となっていたが、当の本人は単に(この当時)髪が煩わしかったからという理由以上の事情はなかったらしい。

一方でビートたけしからは、「お前すごいな・・・」と言われたそうだ。なお、あまりに番組内で「ブス」などとバカにした発言を受けていたため、楽屋に父親が殴り込みに来たこともあり、その際は明石家さんまが走って逃げ出したこともあったそうだ。

コンプライアンスで雁字搦めとなった現在では、到底真似できないような番組であったことは間違いないだろう。実のところ、ビートたけしと明石家さんまは、番組が終了した際に「年寄がバカやってる様はきっと面白い」という理由から「60歳になったらまたやろう」と秘密の約束をしていたという。

しかし、実際に60歳になってみたところあまりに「普通」だったために、先延ばしになってしまっている状態だという。加えて、寛平や村上ショージが昔のギャグをやるのをもはや恥ずかしがっていることを知って、「年を取ってからやるものではない」とも思い始めたという。

【参考記事・文献】
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2021/12/15/kiji/20211215s00041000617000c.html
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/02/19/kiji/20230219s00041000707000c.html
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2024/11/23/kiji/20241123s00041000393000c.html
https://friday.kodansha.co.jp/article/321510
https://bunshun.jp/articles/-/41089

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【文 ZENMAI】

画像『オレたちひょうきん族 THE DVD (1983-1984)