あまりにも正確！映画「BTTF」は本当に未来を予言していたのか？

『バック・トゥ・ザ・フューチャー(略称BTTF)』は、1985年から90年にかけて公開されていたアメリカの映画シリーズ。カリフォルニア州の架空都市ヒルバレーを舞台に、主人公の高校生マーティが過去や未来へタイムスリップする全3編からなるシリーズで、公開されるや否や世界中で大ヒット、アメリカにおいては「フューチャー現象」と呼ばれるほどの社会現象が巻き起こった。

複雑なタイムパラドックスを矛盾なく巧みに組み込んだストーリー構成は、歴史改変を扱う構成のタイムトラベル・SF作品に多大な影響を与えたと言われている。当初はシリーズ化する予定ではなかったが、パート1のラストにテレビ局がジョークで『TO BE CONTINUED…』(“未来へ続く”のニュアンス)と挿入したことが、後にパート2の製作に繋がるきっかけにもなったと言われている。

この映画でよく知られているのは、「BTTFの予言」と呼ばれる都市伝説だ。本作は、1985年を舞台としており、パート1では30年前の1955年、パート2では30年後の2015年、パート3では100年前の1885年へタイムスリップする展開が描かれている。そして、注目すべきは未来へタイムスリップするパート2だ。

発端は、BTTFが9.11を言い当てたというものだとされる。もう一人の主人公とも呼ばれ、タイムマシンを開発した張本人であるブラウン博士(通称ドク)が、作中テロリストに襲われるシーンがるのだが、その場所が「TWIN PINES MALL」という名前であり、旅客機が激突したツインタワービルを彷彿とさせるものであった。

そして、その際に看板にあった時計の時刻が午前「1:16」を指しており、これを180度回転すると「911」という数字になる。これは、作中でタイムスリップした年ではないが、「未来に起こること」を暗示していたと捉えたことで注目を集めた。

次に、メジャーリーグのベースボールチーム「シカゴ・カブス」にまつわるものがある。カブスは、1908年以来ワールドシリーズ優勝から遠ざかっていたチームとして知られ、「カブス＝優勝できない」とまで定着していた。パート2の2015年では、「カブスの優勝」で登場人物が驚くシーンがあるが、2016年、カブスは実に108年ぶりの優勝となった。優勝した年も一年差とニアミスであり、BTTFの予言が一気に話題となった。

また、大統領に似た人物の登場もこの予言をさらに注目させる要因となった。パート1、2に登場するビフ・タネンは、パート2においてヒルバレーを牛耳るカジノのオーナーとして登場するのだが、その風貌がドナルド・トランプに非常によく似ているとも話題になった。彼が第45代米国大統領になるのはその2年後である。こちらもニアミスとはなるが、トランプ大統領誕生の暗示になったのではないかということだろう。

しかしながら、予言が的中していることについては疑問視する声も当然ある。

カブスの優勝については定番のジョークが偶然にも本当に優勝が実現したと言えるし、そうしたことは911に絡む件に対しても言えることだ。

そして、ドナルド・トランプに酷似しているという点については、実は脚本家によって未来のビフのモデルが実際にトランプであったことが明言されており、作中の彼が構える高層ビルも実際にトランプがかつて建てたカジノ施設の一つであるトランプ・プラザ・ホテルをモデルにしたものであったという。

ただ、この他にもBTTFの未来では「ビデオ会議」や「モバイル決済」、「ドローン」などを思わせる描写があったことも確かである。これを予言と捉えるかどうかは微妙なところではあるが、かつての人々が思い描いた未来のアイテムが、すでにいくつも現実化しているというのは一種のロマンであるとも言えるだろう。

唯一、BTTFの製作者たちが予言できなかったのは、たった一つのデバイスがいくつもの機能的役割を果たし、かつ誰もが当たり前のように持つことができるスマートフォンであったとも言われている。

【参考記事・文献】
バック・トゥ・ザ・フューチャー
https://x.gd/gZplI
ビフのモデルはトランプ氏、「バック・トゥ・ザ…」脚本家明かす
https://www.afpbb.com/articles/-/3063967
バック・トゥ・ザ・フューチャー予言が正確に未来を言い当てている件について
https://lapinews.com/geinou_eiga_bakkutu-za01_/1426/
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が予言した5つの未来
https://forbesjapan.com/articles/detail/9677