90年代の日本は、いわば人類滅亡というトラウマを抱えていた時代であったともいえる。作家・ルポライターである五島勉が1973年に出版した『ノストラダムスの大予言』は、当時の日本人の多くに悲観的な影響を与え、またノストラダムスという人物を広く知らしめるきっかけともなった。
ミシェル・ノストラダムスといえば、16世紀に活躍した人物である。医師、占星術師そして詩人として知られ、当時から「予言者」として王族や有力者たちから持て囃されていた。ノストラダムスの予言は、非常に難解な四行詩から構成されており、後世の人々によって多種多様な解釈・解読がなされていき「的中した」と主張されるものが大いに喧伝されることとなった。
さて、1999年7月を過ぎて今や15年。憑き物でも取れたかのように、今の日本ではほぼ取り上げられる機会もなくなってしまったノストラダムスの予言であるが、海外では現在もなお注目されている存在であり、今年2024年の彼の予言と呼ばれるものについても注目が強まっている。
第一に、年初の1月1日、震度7を観測し津波被害など甚大な被害をもたらした能登半島地震について、ノストラダムスが予言していたという言説がある。
1555年に彼が出版した『予言集』の内容に、「乾燥した大地はより乾き、大洪水が起きるだろう」と記されており、これが能登半島地震のことを指しているのではないかとの指摘がある。
そうした災害からスタートした2024年を、彼はどのように予言していたのか。
現在、伝えられているものとしては、中国による台湾あるいは尖閣諸島に絡む海戦(有事)の示唆、チャールズ国王の王位放棄に伴うイギリス王室の混乱、異常気象と飢餓の発生、高齢の教皇が臨終による新たな教皇の出現、といったものを記しているのではないかと言われている。
だが、予言と言われた際、特にノストラダムスの場合は「どうとでも解釈ができるテキスト」であることについて充分注意しなければならない。1999年を過ぎた直後にも、「実は1999年のことではなかった(もっと数年後の先のことだった)」、「実は”恐怖の大王”は別のことを指しており実際に起こっていた」など後出しが非常に目立っていた。
これらの同定を厳密に主張しない限りは、予言の的中との判断は依然として厳しいと言わざるを得ないだろう。
上記のノストラダムスの2024年の予言については、是非覚えていて欲しい。そして、誰がそのように解釈し、結果としてそれが的中したかについて省みることを、来年にはすべきだろう。一方では、予言を公にすることで人々がそれを意識して注意深く行動するため、結果として悲劇的な結果とはならない(はずれる)という説もある。
いずれにせよ、予言には用心しなければならないだろう。
【参考記事・文献】
One of Nostradamus’ terrifying predictions for 2024 came true just hours into the new year
https://www.dailymail.co.uk/femail/article-12923483/Nostradamus-predictions-2024-hours-new-year.html
2024年はどんな年? ノストラダムスやババ・ヴァンガの予言が話題に
https://x.gd/GbXvD
2024年には何が起きる?ノストラダムスの予言から紐解く4つのこと
https://karapaia.com/archives/52328022.html
【アトラスラジオ関連動画】
【文 ZENMAI】
画像 ウィキペディアより引用