花の子ルンルンは、1979年から翌80年まで放映されていた神保史郎原作の日本のテレビアニメである。『キャンディ・キャンディ』の後番組として制作され、また東映動画製作の魔女っ子シリーズの一つにも数えられる作品となっている。
南フランスのある田舎町で暮らしていた少女のルンルンが、フラワーヌ星からの使者と出会い、地球のどこかに咲いている七色の花を探しに旅立つというストーリー。その星は、はるか昔に人間と共に暮らしていた花の精たちが地球から離れて築き上げた国であり、ルンルンは花の精の血を引く”花の子”であったことが明かされる。
この花の精たちが地球を離れた理由が、傲慢になった人間たちによる自然破壊によるものであると語られており、本作はこの時代既に環境破壊を問題視していたことがわかる。
本作が人気となった要因の一つは、まずその「魔法」にあった。
ルンルンの使う魔法は、「念じた服に変えられる」というものであり、現代での魔法少女ものをイメージするとかなり地味な印象を与えるかもしれない。しかしながら、視聴していた少女たちにとっては、好きな衣装に着替えられるという点は非常に夢を抱かせるようなものであったことに間違いなかった。
また、ルンルンたちが旅をして回る舞台がヨーロッパ各地であるという点も、当時海外旅行がそこまで一般に普及していなかった時代において、大きな憧れを抱かせるのに充分とも言える重要なポイントとなったことは確かだろう。
さらに、物語の途中で魔法アイテムが”バージョンアップ”をしている点も本作では見逃せない部分となっている。ルンルンの持つ「花の鍵」は、普段は花型のブローチとして身に付けられているコンパクトケースのようなものとなっていた。
先にも述べたように、このアイテムで使用できる魔法は変装だけであったが、第24話にてその花の鍵は壊れてしまい、新たな二代目の花の鍵が与えられる。
そして、この花の鍵は変装するだけではなく、変装したその服装に相応しい能力が発揮できるといったものとなり、ようやく「変身」と言えるような機能が加えられた。さらに、この二代目の花の鍵では、もう一つ呪文(フレーズ)を唱える設定も加わったという。
これは、『ひみつのアッコちゃん』における確立されたパターンの踏襲とも言われており、ルンルンの花の鍵がコンパクトなのもアッコちゃんへのオマージュだったとされている。
本作は最後にルンルンがフラワーヌ星の王子セルジュと婚約をすることで大団円を迎えるが、このような、相手役の男性キャラが登場し、最後に結ばれるという設定も当時の魔法少女ものとしては珍しいことであったため、これもルンルンによって初めてとなった様式と言われている。
因みに、「花の子ルンルン」の全体的な設定は、主人公の少女が特異的な存在であること、異界からマスコットが現れ魔法少女を任命されること、時折登場する謎の男性が実は運命の人であること、などこれらが「美少女戦士セーラームーン」にも通じている構成であるとの指摘もある。魔法少女もの、変身ものにおいて、花の子ルンルンの果たした役割はあまりにも大きい。
【参考記事・文献】
花の子ルンルン/ネタバレ注意!アニメ最終回感想&あらすじ・セルジュみたいなイケメンの王子様が迎えに来てくれないかなと…。
https://nakano-laboratory.hatenablog.com/entry/2014/11/03/095308
花の子ルンルン
https://dic.pixiv.net/a/%E8%8A%B1%E3%81%AE%E5%AD%90%E3%83%AB%E3%83%B3%E3%83%AB%E3%83%B3
花の子ルンルン (1979)
https://www.themoviedb.org/tv/68343?language=ja
魔法少女の系譜、その181~『花の子ルンルン』の魔法道具と、相手役男性~
https://note.com/otogiri_chihaya/n/n55fff8048037
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