デンゼル・ワシントンは、アメリカの俳優、映画監督として活躍する人物。アカデミー賞、ベルリン国際映画祭男優賞、などの受賞歴があり、硬派なインテリ役を多くこなすことで知られる。2002年には、黒人(アフリカ系アメリカ人)俳優として2人目となるアカデミー主演男優賞を受賞。
彼は、長きに渡り俳優という立場から黒人差別と闘ってきた。それまでの黒人に対する役回りは、陽気な脇役や頭が良くない悪党、コメディアンなどに偏っており、彼はそういった配役のオファーを断り続けてきた。これは、黒人俳優の先駆者の一人として知られ、かつ親友でもあったシドニー・ポワチエの「自分が良いと思った役のオファーを待て」というアドバイスに基づく信条だった。
そんな彼が、映画のプロモーションによって初来日をした時のこと。
彼は、海外で受ける黒人差別も日本で受けるものだと思い、来日には憂鬱な気持ちで臨んでいたという。ところが、プロモーションイベント終了後に日本のとある旅館へ案内されたところ、女将や従業員が深々と頭を下げる様子や、彼の荷物を部屋まで運び案内し、丁寧な説明を受けた。
これまでの海外でのホテルでは、黒人ということで不愛想な対応がなされたり、ひどい時には無視をされたりしたほどであった彼にとって、旅館での思ってもみない厚遇に驚いたという。さらに、旅館の美しい外観や閑静な部屋からの景色に見ほれたほどであったそうだ。
その中で、彼が最も驚いた出来事が起こる。
食事の時間となったため食事処へ向かい日本食を堪能していたところ、他に来ていた白人客が彼のもとへ近寄り、「なぜ黒人がこんなところにいるんだ」「こいつを追い出してくれ」と従業員に言い始めたのだ。彼は白人客に言われた通りその場所から去ろうとしたところ、ある従業員が白人客に対し「お客様はお部屋での食事をお願いします」と丁重に申し出、不満げに怒鳴る白人客を誘導していった。
さらに、彼が外へ散歩に出て部屋に戻ってきた際、部屋が綺麗に整頓されていることに気付いた。ルームサービスと思った彼はチップを渡そうと従業員を呼んだところ、「日本の旅館では普通のことです」と言われて断られたことに、驚きを隠せなかったという。これも、チップを渡さなければまずサービスがなされない海外のホテルとは大違いであったことが強く印象に残ったという。
後年、彼は肌の色で差別をしなかったこうした日本での体験をテレビ番組で語ったというのが、彼のエピソードとして語られている。
ただし、このエピソードについてはソースがハッキリとしておらず、信憑性が疑わしいというのが実情。海外の有名俳優やアーティストが日本での体験に感激するといったストーリーは、近年になって多く動画サイトなどを通して広まっている。だが、中には具体的な事柄の記述がなく、事実確認がままならないものも多いのも事実である。
こうしたストーリーは、何らかのエピソードが大元に存在し、その主人公を著名人に置き換えて広まっているとの例も見られる。ひょっとしたら、このエピソードもそのようなもののたぐいである可能性があるだろう。日本文化が絶賛されるのは誇らしいことであるが、著名人の名を使った創作であるとすれば考えようだろう。
【参考記事・文献】
【海外の反応】「日本での体験は一生忘れない」黒人差別と闘っ的たデンゼル・ワシントン氏が日本の旅館での衝撃エピソードを公開
https://x.gd/zpYhx
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【文 ZENMAI】
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