『天空の城ラピュタ』は、1986年に公開されたスタジオジブリ初のアニメーション映画。公開当時の興行成績は、ジブリ作品の中でもワースト記録とされているが、毎年地上波で放送される際にはSNS上で実況され、滅びの言葉「バルス」が一斉に書き込まれると言った恒例行事がされたり、作中に登場する悪役ムスカ大佐がその台詞と共にネットミーム化されて人気を博すなど、ジブリ作品の中でも特に親しまれている作品と言って良い。
天空の城ラピュタには、少々変わった都市伝説が囁かれている。
例えば、ラストのラピュタが崩壊していく瓦礫の中でトトロが一瞬映りこんでいるというものがある。そもそも、トトロはラピュタよりも後に制作された映画及びキャラクターであり、実際に映りこんでいる様子は確認されていない。
これについては、作中に登場するゴリアテの模様の一部がトトロのように見えるということ、瓦礫が大量に崩落している中に落下するムスカが実際に描かれていることなどが合成されて生まれた噂とも考えられる。
だが、もう一つ天空の城ラピュタにまつわる最も有名な都市伝説がある。それは、エンディングが2種類存在しているというものだ。
本作のエンディングといえば、パズーとシータがドーラ一家と別れた後、ラピュタが上昇していくムービーが流れて終了する構成となっている。都市伝説によると、パズーが、シータの故郷のゴンドアまで送るといった後日談的な描写がされていたという。
この噂は、2000年ごろからネット掲示板にて語られ始め、当時から多数の人々により調査・検証されるほどであった。
2002年12月13日には、この幻のエンディングについてジブリ公式サイト「スタジオジブリ日誌」にて完全に否定がなされたことも大きな話題となったが、依然としてこの都市伝説は居座り続けている。
この幻のエンディング都市伝説については、成立にいくつかの説が唱えられている。作中の回想シーンなどに、パズーがゴルドアへ送っていってあげるとシータに言う場面や、牧場や暖炉の描写も回想シーンの中に登場している。つまり、いくつかの”その後”につながる描写が印象として残り、後日談のような形で記憶が混同されてしまったというものだ。
また、実際にたった一度だけ放送されたとの説もある。1989年の金曜ロードショーで放送された際、尺の都合からか本編にあったシーンなどをつなぎ合わせたエンドロールが流され、その中にオートソニプターに乗って飛行しているパズーとそれを出迎えるシータのイラストが加えられていたというのである。これが映画の続きだ誤解され、しかもたった一度きりの放送であったために幻となってしまったというわけだ。
ただし、この簡易エンディング説は映像が残っているわけだは無いために確認しようがないのが実情だ。
なお、このイラストそのものは実在している。
実は、小説版天空の城ラピュタには後日談が語られている。映画のエンディングから半年後、シータはゴンドアの谷でヤクを飼いながら暮らし、パズーは親方の下で再び鉱夫として働き続けている。
2人は文通をし合っており、その中でオートソニプターが完成したらシータの所に会いに行くとパズーが手紙で約束したところで小説版は区切りが打たれている。そして、宮崎駿監督によりそのイラストが実際に描かれた。
つまり、小説版による映画本編より後の話と、実際に描かれたイラストの印象から、映画のエンディングにもう一つのバージョンがあるという都市伝説が、半ば「視聴者の願望」混じりに想像されてしまったのが都市伝説化した要因だったのではないかといわれている。
【参考記事・文献】
ラピュタに幻の別エンディングが存在?
https://www.okasinakuni.jp/laputa-ending/
天空の城ラピュタの噂の正体
http://park3.wakwak.com/~romulus/kiwame/gase.html
【天空の城ラピュタ】その後を描いた幻のエンディングが小説に!?
https://x.gd/iYT77
【本当!?】天空の城ラピュタには幻のエンディングが存在する!?
https://entertainment-topics.jp/136866#headline_4308905
天空の城ラピュタの幻のエンディングの真相
http://tanuki.na.coocan.jp/Math/Raputa01.HTM
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【文 ナオキ・コムロ】
画像 『天空の城ラピュタ』(1986)©スタジオジブリ