天文学者たちが火星でスマイリーフェイス型の構造を発見。研究者たちは、それが赤い惑星での過去の生命の兆候が隠されているかもしれないと考えている。
このニヤリと笑った地層は、一対のクレーターの目と、古代の塩の堆積物のリングで構成されている。これらの堆積物は、はるか昔に干上がった古代の水域の跡であり、赤外線カメラで見た時にだけ見ることができる絵文字のような残骸を残している。
この写真を撮影した欧州宇宙機関(ESA)は、「古代の水域の名残であるこれらの堆積物は、数十億年前のハビタブルゾーン(居住可能地域)を示している可能性があります。」と述べている。
このスマイリーフェイスがどれくらいの大きさなのか正確にはわからないが、科学者たちによれば、これは火星の表面に最近カタログ化された約1000の塩鉱床の一つであり、幅1,000フィートから10,000フィートにもなるという。
塩類堆積物とは、惑星表面に見られる塩(塩化物)の堆積物である。火星で大昔に気候が大きく変化したときに干上がった古代の水域の名残だ。
ESAによれば、火星の液体の最後の水たまりが消滅する前、そこは微生物生命体にとっての「オアシス」であった可能性があるという。
これらの水たまりは非常に塩分が多かったため、かつてそこに住んでいた微生物の残骸が、この笑顔のような堆積物に隠れて、今日まで保存されている可能性がある。
ESAは、「ExoMars Trace Gas Orbiter」を使ってこの画像を撮影した。ExoMars Trace Gas Orbiterは、火星の大気中のメタンなどのガスのレベルを2016年から測定しており、科学者が火星の生物学的または地質学的活動の可能性を理解するのに役立っている。
通常、火星表面の塩の堆積物は目に見えない。しかし、探査機の赤外線カメラでは、それらがピンクや紫に光っているのを見ることができ、スマイルマークが浮かび上がる。
この写真は、学術誌『Scientific Data』の研究の一部として発表された。
スウェーデンのベルン大学の科学者が率いる研究チームは、探査機が撮影した画像を用いて、火星の塩化物塩鉱床に関するこれまでで最も堅牢なカタログを作成した。
新しいカタログには、惑星の表面全体にある約1,000の異なる鉱床のデータが含まれています。
これらの堆積物は、現在の赤い砂漠の惑星とはまったく異なる古代の火星の姿を描き出している。数十億年前、火星には液体の水が存在していたのだ。
惑星科学者で本研究の筆頭著者であるヴァレンティン・ビッケルはESAの声明の中で、「遠い昔、赤い惑星では水が河床、水路、三角州といった壮大な地形を形成していました」と述べている。
しかし、研究によると、30億年から20億年前のいずれかの時期に、厳しい気候変動がこれらの水域を干上がらせたことが示唆されている。
この極端な気候変動は、火星の磁場が失われたことによって引き起こされた可能性が高い。磁場が失われたことで、太陽風が大気を侵食し、液体の水が凍ったり、蒸発したり、火星の表面に閉じ込められたりしたのだろう。
現在、塩の堆積物は、火星に古代の水が存在したことを示す唯一の証拠となっている。
さらに、それらを研究することで、かつて地球の液体の水に生息していた古代の微生物の生命についての手がかりが明らかになる可能性があるという。
「この新しいデータは、初期の火星における水の分布や、過去の気候や居住可能性を理解する上で重要な意味を持っています」とビッケルは述べた。
火星の過去や現在の生命を示す決定的な証拠は無いが、この研究は赤い惑星での微生物の探索を再燃させている研究に加わった。
Scientists discover a 'smiley face' on Mars – and it could contain signs of life https://t.co/IWuvsW8LwA pic.twitter.com/fNFtdqRROh
— Daily Mail Online (@MailOnline) September 11, 2024
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【文 黒蠍けいすけ】
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