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「宇多田ヒカル」1stアルバムが製造元で音質が違う説は信頼できるか?

宇多田ヒカルは、日本の女性シンガーソングライターであり、1970年代に活躍した演歌歌手の藤圭子の娘である。父親も音楽プロデューサーであったことから音楽一家として育ち、1998年当時15歳という若さで「Automatic/time will tell」をリリースし歌手デビューをし、200万枚を超える大ヒットを記録し社会現象をも巻き起こした。

宇多田ヒカルにまつわる都市伝説もある。

それは、1stアルバム『First Love』に関するもの。国内アルバム売上史上歴代1位を誇るこのアルバムは、当時国内で流通していた「地域振興券」の使用期限が間近になって使い道に困った人々がこのアルバムを購入したことで爆発的な売り上げになったという噂もあるが、それ以上に有名なものが一つある。

その内容は、「First Love」のCDはプレス工場によって音が違う、というものだ。そして、いずれかのプレス工場のCDが最も高音質でありレアものとなっている、との補足も付く。

溝に針を置くかつてのレコードは、そういったことがよくあったと言われているが、CDがプレスによって音質が変化するということなど果たしてあり得るのだろうか、という疑問は長きに渡り問われていたものであったようである。何より、既にCDすらも珍しくなった現代においては検証も一筋縄ではいかないまさしく”伝説”と化したものであると言えるだろう。

ところが、2024年にこれを実際に検証したという情報がネットで話題となった。当記事の執筆者によると、彼はかつて上司から「プレスでCDは音が変わる」と聞かされていたことがあり、その後業務の過程で国内のプレス工場が音質競争を繰り広げていたことや、その音質差が歴然としていたことなどを知ることになったのだという。

さて、当記事によると「First Love」の製造場所は計5種類あったとされており、その違いはCDそのものに刻印された「IFPI SID Code」によって確認することができるという。それによれば、1.東芝EMIがカッティング&プレス、2.東芝EMIがカッティング&プレスで品番下にドットの印(意味は不明)、3.コロンビアミュージックがカッティング&プレス、4.東芝EMIがカッティング、ソニーミュージックがプレス、5.香港盤と思われるもの、という内訳となっているそうだ。

執筆者は、実のところおよそ10年前の「『First Love』15周年リマスター盤」発売時に、一度このことを発表していたという。結論としては、オーディオマニアとしての聞き比べからすると「都市伝説は本当だった」とのこと。なお、この執筆者が最も良いとしたのは4であったようである。

とはいえ、やはりこの件についても懐疑的な意見は多数寄せられているようだ。最たるものは、結局のところ音質の違いに対する評価が執筆者の主観によるところが大きく、「せめて同一危機で再生して高品質録音して比較するべき」「デジタルデータそのものは同じはず、それが音質に繋がる理屈が不明」などと非常に手厳しい。

つまるところ、検証に至った行動力や記録についての反響は大きかったものの、検証方法としてはかなり怪しいのではないか、という総評に落ち着いているようである。結果として、プレスによって「First Love」の音質が違うという件の科学的検証は未解決のままと言えるだろう。

因みに、かつてはCDを冷蔵庫に入れて冷やすと音質が高くなるといった噂もあったが、この行為は逆にCDを傷つけやすくしてしまい、正常な再生に支障をきたしてしまうという注意喚起がなされたこともある。正しいか誤りかはともかく、こうした噂や都市伝説が広まるという点では、思いのほか多くの人々が音質を気にしているということの証左なのだろう。

【参考記事・文献】
宇多田ヒカル「First Love」都市伝説は実在した! CDはプレスで音が変わる
https://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/1580120.html
宇多田ヒカルの1stアルバムはプレス工場によって音質が違うという都市伝説がある→実際に検証した記事が奥深すぎる
https://togetter.com/li/2342766

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【文 黒蠍けいすけ】

画像『First Love