妖怪・幽霊

群馬県吾妻郡の重要文化財「富沢家」が幽霊屋敷と言われるわけ

富沢家住宅は、群馬県吾妻郡中之条町にある古民家であり、俗に「富沢家」とのみ呼ばれている。18世紀末ごろに建てられた地元の村の名主を代々つとめた旧家であると言われ、二階に専用蚕室を持つ国内最古級の養蚕農家と言われている。

富沢家は、1970年6月17日に国の指定文化財に指定されている。そのため、現在でも保存がなされており、中之条町から月夜野町へ抜ける大道(だいどう)峠途中にも所在を示す大きな看板が建てられ、無料で見学も可能となっているという。

そんな歴史的にも貴重な古民家の富沢家であるが、どういうわけか幽霊屋敷として知られ地元民は誰も近寄らないとまで言われている。それは、次のようないわくが語られているためであるという。

それによると、富沢家はかつて旅館として使用されていたが、実は経営していた主人が宿泊客を次々に殺害し、金品を奪ってその死体を地下に埋めたのだという。この話は、2000年8月にネット上で書き込まれたものが確認できる情報源となっている。

19世紀末のアメリカにて、ヘンリー・ハワード・ホームズという殺人鬼がシカゴの土地に人間を殺害することを目的とした「殺人ホテル」と建てたという猟奇的な事件が有名であるが、富沢家のこの話はまるでその殺人ホテルを彷彿とされる内容と言えるだろう。

また、上記の投稿された書き込みの中では、文化財となって以後に発生したと思しき心霊現象とされるものの記述もある。それによると、その富沢家の中にある「触れないで下さい」という注意書きを破った地元のとある子供が、鍋に触ったところ誤って落としてしまった。

その後、自宅で夕飯の支度で汁物を作っていた母の傍にその子供が寄ってきたとの時、触れていなかったはずの鍋が独りでに子供の体に落ち、かかった汁物によって子供は下半身に大やけどを負ってしまったというのである。

心霊スポットとしてはきわめてマイナーな部類に入るこの富沢家が、そのような場所として紹介される際は、「事件は事実らしい」「実際の事件の現場になった」という触れ込みで紹介されることが多い。

だが、冒頭でも述べた通り、富沢家は養蚕を行なっていた地元名主の宅地であり、また文化財となる1970年までに、旅館として機能していたという証拠は見受けられないのが現状だ。その上、いくら名主の古民家とはいえ、使用人を含めた大家族が住まうことは想像できるものの、旅館であったとはその規模から見ても到底言い難い。

心霊スポットとしての富沢家のいわくは、インパクトが非常に強い。だが、その反面なぜそのようないわくが語られるようになったのか、についての経緯はほぼわかっていない。

もし、訪れるようなことがあった際は、どちらにせよ文化財として拝見することをお勧めする。

【参考記事・文献】
富沢家の~(心霊スポット編)
https://minkara.carview.co.jp/userid/296918/spot/202675/
中之条町
https://psychic-spot.chobi.net/Kanto/town_Gunma/Nakanojo.html
富沢家住宅【国重要文化財】
https://worldheritage.pref.gunma.jp/JH/sbt/kb001/
《実在の犯罪者》殺人ホテルまで建設したアメリカ史上初のシリアルキラー H・H・ホームズ
https://horror-lab.club/criminal-hhholmes/
旧富沢家住宅
https://www.sukima.com/77_agatsuma/02tomizawake.html

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【文 黒蠍けいすけ】

画像 ウィキペディアより引用