群馬県藤岡市と埼玉県神川町の境に、下久保ダムのダム湖である神流湖(かんなこ)が存在する。日本最大の人工湖として知られるその神流湖には、「琴平橋」と呼ばれる赤い橋が架かっている。
本来「金比羅橋」と呼ばれていたというその橋は、いわゆる自殺の名所としても知られており、幽霊橋とも呼ばれる県下有数の心霊スポットとして有名である。
金比羅橋の曰くは非常に多い。元々1969年のダム建設の際にはおよそ310世帯と墓地を含む一つの集落が水底に沈んだと言われている。この橋にまつわる心霊現象は、この沈んだ村の怨念に端を発していると言われており、そこからさらにダム建設の際に事故で亡くなった犠牲者や多発する自殺者へと呪いの連鎖が繋がっているのではないかというのである。
実際、ダムの近くには建設時に殉職した人々の慰霊碑もある。
2011年1月24日付の朝日新聞(東京地方版新潟)には、当地に長く住む人物のインタビューが掲載されており、それによるとダム湖の水が減ると必ずと言って良いほど遺体が発見され、多い時には一夏で3~4体にも及ぶのだという。
かつては、自殺防止ネットや外灯も一切なかったようだが、のちに心霊スポットのイメージを払拭しようとした観光関係者の手により、ネットや外灯の設置、そして「いのちの電話」や地元児童が描いた自殺防止ポスターなどが飾られるようになったという。タイミングによっては、花や線香が供えられていることもあるとのことだ。
金比羅橋は、高い確率で心霊現象に遭遇すると言われており、人魂の目撃、橋下から何者かが覗いていた、あるいはうめき声が聞こえたといったものがよく聞かれており、飛び降り自殺を繰り返す女性の霊が目撃されるというような噂もある。
噂話には、さらに興味深い話もある。この金比羅橋の近辺には埼玉県の心霊スポットとして知られる「新井さんの家」と呼ばれる一軒家と思しき廃墟がある。詳細は不明であるが、そこに住んでいた新井さんはダム建設の作業員の一人であった、または新井さんはダム建設を反対していた地元住民の一人だったとの噂があり、いずれにせよダム建設に関連した形で語られることがある。
ただ、この橋にまつわる話が不確かな噂だけに留まらない、ということは知っておくべきだろう。1978年1月26日には、5人の暴走族グループによって19歳の男性がリンチされ、最後には橋の上から男性が投げ出され殺害されるという事件が実際に読売新聞などで報道された。
2010年には、この金比羅橋の上流にある別の橋から死体が遺棄されるという事件も発生しており、そうした実際の事件のインパクトも相まって心霊スポットとしての雰囲気が一層強まっていると考えられる。
心霊スポットの多くは、こうした犯罪に繋がり得る可能性もきわめて高い。心霊スポットといかに見るか、改めて考えさせられる事例であるとも言えるだろう。
【参考記事・文献】
【群馬県の心霊スポット】金比羅橋(琴平橋)に残る水没した村の怨念
https://media-dp.com/%e3%82%aa%e3%82%ab%e3%83%ab%e3%83%88/6256
神流湖 金毘羅橋(琴平橋)
https://haunted-place.info/2453.html
琴平橋(金比羅橋)
https://shin-kichi.com/kotohirabashi/
神流湖の金比羅橋は何故、心霊スポットといわれるのか?
https://tabi-and-everyday.com/archives/24861
【アトラスラジオ関連動画】
【文 ナオキ・コムロ】
画像 Baka-19474 / photoAC