熊本県には、昭和天皇も宿泊したという阿蘇観光ホテル(廃墟)、西南戦争の歴史も残る田原坂、稲川淳二も訪れたことがるという信愛病院(跡地)、かつては姥捨山だったとの噂がある金峰山など、全国的に知られる心霊スポットがいくつもあり、これらは紹介元によって「三大心霊スポット」と称され、うち3ヶ所が「最恐」という枕詞と共に選出されることが多い。
そして、その選出候補としてもう一つ「旧佐敷トンネル」も忘れてはいけないだろう。
旧佐敷トンネルは、葦北郡芦北町の大字海浦と花岡を結ぶ国道3号の峠「佐敷太郎峠」にある煉瓦トンネルだ。薩摩街道時代より難所の一つとして知られており、1903年(明治36年)に開通、全長500mで笠石・帯石を用いたアーチ型のトンネルで、ウイング部がフランス積み、側壁がイギリス積みされた歴史あるトンネルとなっている。
1965年に新佐敷トンネルが開通して以来、交通量が大幅に減少しているため今ではほとんど使用されることは無いようだが、現在でも通行自体は可能であるという。
心霊スポットとして語られる旧佐敷トンネルの噂には、肝試しで訪れたグループのうち女性一人が忽然と姿を消し行方不明となった、トンネル近くにあるボロボロの小屋で昔殺人事件が起こった、トンネル内に人影がおりトンネルの壁の中へ消えて行った、など数多い。
そのほか、トンネル内を歩いて足を引っ張られた、トンネルの中から苦しむような声が聞こえた、一本道のはずが迷子になった、そして帰りに事故に遭ったというトンネル心霊スポットお馴染みのものと様々である。
特に強く噂されているのは、旧佐敷トンネルの建造中に落盤事故が発生し、多くの犠牲者が出たというものだろう。発達した掘削機械の無い時代の、手掘りによる大規模なトンネル工事は殉職者が出てもおかしくはないと考えられ、またトンネルの坑口近くにいくつも小さな祠や地蔵が立てられていることから、事故犠牲者の慰霊あるいは災いを鎮めるためのものではないかとの推測もなされている。
先の壁に消えた人影というのも、作業員の幽霊ということになるのだろうか。
とはいえ、具体的な記録などは残されていないため、落盤事故があったという話は憶測の域を出ていない。難所であったということから、純粋に崖下への転落など交通事故が多かったことは想像に難くない。また、落盤事故で多数の死者が出たというわりに、明確に作業員の幽霊の目撃という例は見られず、女性の幽霊を見たという噂に留まっているのもまた奇妙である。
一つ興味深いのは、トンネル付近に「幽霊坂」と呼ばれる坂があり、本来存在しないはずの道が現れて事故を誘発するというのだ。
佐敷トンネルは、現在も人気YouTuberが訪れたことで一際メジャーな心霊スポットの一つとなっている。一つ言えるのは、トンネル周囲が鬱蒼としており何よりトンネル内に灯が無いため、少なくとも肝試し以外の目的で通行する場合は夜間を避けた方が良いということだろう。
【参考記事・文献】
煉瓦隧道 旧佐敷隧道
https://www.hotetu.net/Brick/Bridgetunnel/191224sajikizuidou.html
旧佐敷トンネルの現在！場所と歴史・落盤事故の噂や足を引っ張られた動画もまとめ【熊本三大心霊スポットの1つ】
https://wondia.net/sashiki-tunnel#i-3
【旧佐敷トンネル】は熊本最恐の心霊スポット！衝撃映像や事故の真相を徹底検証！
https://shiori-tabi.jp/posts/16239#head-433860902b81f348d114f25b340b3e66
旧佐敷トンネル 薩摩街道の難所に掘られた佐敷隧道
https://haradaoffice.biz/former-sashiki-tunnel/
旧佐敷トンネルで何があった？事故や足引っ張られ動画はマジ？
https://poltergeist.jp/former-sashiki-tunnel/
【文 ZENMAI】
画像 ウィキペディアより引用
