世界的に有名なモンスター「フランケンシュタイン」。作中に出てきた人造人間と、その映画での描写などのインパクトがあまりに強かったために怪物の方が「フランケンシュタイン」という造物主の名前で呼ばれるようになってしまったのはなんとも皮肉なことだ。
さて、そんな人造人間を作った優秀な学生フランケンシュタインは、実在の人物だったという説がある。
実は18世紀に書かれたヴィクター・フランケンシュタインの日記というものが存在するという。そして、その書籍では、人造人間を創造していく過程が実に詳しく描写されている。
彼は解剖学を学ぶにつれ生命の存在に興味を抱き、いつしか死体をよみがえらせる事に没頭していくようになる。墓場や死体置き場から死体を盗み出し、おぞましい実験を繰り返すのである。
例えば胎児の死体に輸血して生き返らせようとするが量を間違えた様子、墓場で既に腐敗してウジが湧いている死体から臓器を取り出した様子、苦労して集めた人体のパーツを組み合わせていく様子が描写されていく。
しかし、最も苦労したのは人間の根幹を司る新鮮な脳を手に入れることだった。なかなか理想の脳を手に入れられなかったフランケンシュタインは、焦りのあまり弟子とともに森で遊ぶ子供をさらい、殺害して脳を移植してしまう。
そして電流を流してみるが、人造人間は目を覚まさない。フランケンシュタインは「明日はもっと強い電流を流そう」と考えるも、自分の所業に対する恐れと深い後悔の念を書き残して手記を終えている。
なかなかリアリティのある日記だが、実はこの日記は全くのフィクション。メアリー・シェリーの「フランケンシュタイン」を下敷きにして創作された作品だ。
なお、小説の方は邦訳もされており、フランケンシュタイン博士による(という設定の)図説も豊富なもの。興味がある人は一度手に取ってみてはいかがだろうか。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
Jim CooperによるPixabayからの画像