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異国あるいは異星の存在だった?!「神武天皇」実在論の諸説

神武天皇と言えば、日本神話に登場する日本皇室の初代天皇だ。記紀の記述によると、天照大神の孫である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の曽孫として、鸕鶿草葺不合尊(うがやふきあわせずのみこと)と玉依姫の(たまよりびめ)の第四子として日向(ひむか)に生まれた。

45歳の時、豊かな東方の地へ移住し都を構えるための東征(神武東征)を行ない、その際に河内を支配していた長髄彦(ながすねひこ)の抵抗にあう。

その後、布都御魂剣により大熊を打倒、八咫烏の大和への案内などを経て、再び激突した長髄彦をついに倒し大和を平定した。紀元前660年2月11日、橿原宮にて即位し始馭天下之天皇(はつくにしらすすめらみこと)と称して、ここに神武天皇は誕生した。

神武天皇については、神話における架空の存在であるか、あるいは実在していたかについて現在も議論が交わされている。

非実在論においては、記紀の記述においては神とのやり取りがなされていることや、先の霊剣の逸話や八咫烏の登場といった展開があまりに非現実的であるという点のほか、崩御の年齢が137歳など現実離れした長命であることなどが挙げられる。

これ以外にも神武天皇については、その「はつくにしらすすめらみこと」という名称が第10代崇神天皇と同じであること(表記は「御肇國天皇」と異なる)や、神武天皇から崇神天皇までの間の天皇八代が名前だけで事績などの記録がなされていないという指摘もなされている。

崇神天皇については記録も多く実在性が高い天皇とされており、神武天皇という「初代」を作り上げ、その間にも数代いることで皇室の正統性を持たせる目的があったとする意見もある。

また、非実在論と実在論の境界にあたる意見とも言えるが、神武天皇個人そのものは存在しないが、元になった人物がいたのではないかとする説もある。これは、聖徳太子にも見られる説であるが、ある偉業をなし得た人物(場合によっては複数人)の事績を神武天皇というアバターに集約させたというものだ。

この説によれば、神武天皇は実在しなかったが、記紀にある神武天皇がなしたとする事績の数々は事実もあったのではないかとするものとなる。

上記にある意見の中には当然ながら反論もある。前述した年齢については「春秋二倍暦説」を要因とするものがあり、これは古代日本においては半年を1歳と換算したことから年齢が膨れ上がってしまい、この計算によれば神武天皇の年齢は63、4歳に相当するのではないかと言われている。

また、崇神天皇と名称が同じということについては、「大和朝廷が誕生したこと」と「(畿内)国の統治が確立したこと」の意味でそれぞれ異なっており、双方の天皇の事績にあるものであるから不自然ではないとするものもある。

一方で、神武天皇が実在した証拠として、各地に残る史跡なども指摘されている。宮崎県高原町には、神武天皇の幼名「狭野命」に因んだ狭野神社が存在し、船出の地である日向市美々津町には「おきよ祭」という神武天皇の逸話に因む祭も残され、さらに広島県安芸郡の多家神社には、神武天皇が土地の人に「曽は誰そ」と尋ねたと伝わる「たれその森」がある。

東征の経路には、こうした神武天皇にまつわるものが多く点在しているのは事実である。

なお、神武天皇実在論については、神武天皇が実在したとしてその正体は何者であったかという意見もいくつかある。中国では、燕京大学の衛挺生(えいていせい)教授によって、秦の始皇帝の使いとして知られる伝説上の人物(あくまで実在と見なしての)徐福が神武天皇だったとする「徐福神武天皇説」が提唱されたこともありセンセーショナルを巻き起こした。

さらには、神武天皇の正体は聖書に登場するダビデ王の子孫である「インマヌエル」という人物だったとする説もある。崩壊目前であった南ユダ王国の行く末を憂えたヒゼキヤ王が、預言者イザヤと共に子であり王子であるインマヌエルを国外へ苦し、その行き着いた先が日本であるというものだ。

その後、四国に辿り着いたインマヌエルが近畿へ進軍し、大和朝廷を開いたというのがこの説である。

より突飛なものであれば、『先代旧事本紀』に記されている神武天皇の姿、すなわち身長3m、頭には角が2本、背中には竜の背びれ、といった異形の姿で説明されていることをもって、神武天皇含め古代天皇は龍蛇族である、また天孫降臨の物語に倣い飛来したエイリアンの末裔であったとするものまであるようだ。

神武天皇の謎は実に果てしない。

【参考記事・文献】
林房雄『神武天皇実在論』
産経新聞取材班『神武天皇はたしかに存在した』

インマヌエル王子は後の神武天皇 イザヤが連れて陸路では1年半の日本めがけて海路で国外脱出した

古代の天皇は龍蛇族だった?!

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【文 黒蠍けいすけ】

画像 ウィキペディアより引用

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