霊感診断と呼ばれるものがネット上には溢れている。そこでは、いわば心理クイズのような形式でどのような回答を選べば何%霊感を持っている、といったものが散見される。この他、小指が隣の薬指の第一関節よりも短い人ほど霊感が強いといったようなものから、霊感あるいは特別な能力を有する人が持っているという手相なども各所で紹介されている。
霊感あるいは霊能力があるか否かをチェックする方法で有名なものとしては、次のような方法があることを耳にしたことがある人は多いかもしれない。
その方法とは、まず目をつぶって自分の家をイメージする。玄関の扉から家に入り、家中の窓を一つ一つ開放していく。玄関に戻ってきたら今度は逆に窓を閉めて回り、再度玄関へ戻ってくる。この時、部屋を回る途中で何者かとすれ違った場合、その人は霊感が強いのだという。
この方法については、ネット掲示板2ちゃんねるの『洒落にならないくらい恐い話を集めてみない?』(通称「洒落怖」)の最初期のスレッドにて類似した方法が記されている。
2000年8月8日付のその投稿では確認する限り若干異なっている部分があり、まず頭の中で「自分の家の自分の部屋」にいるイメージを思い浮かべ、「そこから順番に全部の部屋を覗いて」回る、その途中「どこかの部屋で自分以外の誰かに会ったら」霊感が強い、となっている。
玄関からではなく自室からのスタート、窓の開閉、といった点で差異が見られるが、家の中を回り歩くといった部分は共通しているため、これがこのチェック方法の本質部分であることが伺える。
前記の投稿によれば、イメージをした際に「部屋にいたら、見たこともない男がそこへ座り込んで」こちらを睨んでおり、その日帰宅して部屋へ行くと、イメージの中に出てきた男が同じように座り込んで睨んでいたという具合のオチで締め括られている。
この話は派生した内容のものもある。かつて幼い頃に住んでいた家をイメージして探索していた話者が、二階へ行く階段の踊り場の左側を向くと、そこにはひどく老け込んだ父親が虚ろな目をしながら立っており、驚いてイメージをやめてしまった。改めて、イメージし直そうとするも先ほどまで鮮明にできたイメージが出来なくなり、再び踊り場まで到達するも今度は誰も出てこなかったという。
現在に至るまで、さまざまなバリエーションが生み出されていると思われるこの霊感を確かめる方法であるが、ネットの書き込み以前に遡ると、実はほぼ同様の方法が掲載されている書籍が確認できるのだ。それは、1990年8月24日初版『わたしのまわりの怪奇現象1000』である。
本書内では「怪奇ゲーム集」というコーナーの中に「想像力ゲーム」と題した遊びの方法が解説されている。友人に目を閉じてもらい「あなたは自分の家に入ります」と語り掛けることから始まり、玄関のドアを開け、「押し入れ、引出しの中、トイレ、台所など」くまなく覗くよう指示し、最後に「どこにどんな人がいましたか?」と質問をする。
そこでの解説によると、知っている人が出てきた場合その人は「半年以内に死ぬ」、知らない人やすでに死んでいる人が出て来た場合は「家にいる霊の姿」だという。
この手法は、おおまかな流れとしては同様と見て良いだろう。この記載が方法の初出であるかは不明であるが、少なくとも平成初期には既に知られていた方法であったことは確かである。仮に、これが大元であったとすれば、この方法は、実は二人一組で行なわなければならないものであったのかもしれない。
【参考記事・文献】
マイバースデイ編集部・編『わたしのまわりの怪奇現象1000』
『霊感があるかどうかが判る方法』
https://nazolog.com/blog-entry-1173.html
霊能力があるかどうか調べる方法知ってる?2chの怖い話
https://x.gd/WwK3s
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【文 ナオキ・コムロ】
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