六ヶ迫(ろっかさこ)トンネルは、大分県臼杵(うすき)市藤河内の山中にある旧道に存在するトンネルである。
1963年に竣工された全長169m、幅員6.5mの素掘りのトンネルであり、かつてはここを通る以外に山を越える方法が無かったため、多くの車が行き来していたという。
2002年、臼杵坂ノ市有料道路が無料開放されたことで交通量が激減したことで、現在では使用されることが殆ど無くなっているという。トンネル周辺には、コンビニはおろか民家も街灯も存在せず、夜間は真っ暗になってしまうということも重なり、現在ではもっぱら心霊スポットとしての知名度が高まっているようである。
六ヶ迫トンネルで噂されているという怪異については、以下のようなものがある。深夜の2時に(おそらく自動車で)トンネルを通過すると全身真っ白な服を着た女性とすれ違い、振り返ると歩いていたはずの女性が姿を消していたのだという。この女性とすれ違うことで、事故を誘発しそうになるというケースが多く語られている。
また、トンネル通過中に子どもがはしゃぐような声が聞こえたというものもあり、聞こえただけで何もないと思っていて車を確認すると、車に小さな手形が残っているというのだ。そして、体験した夜(数日後のパターンもあり)に眠っていると金縛りにあい、その際には再び子供の騒ぐ声が聞こえてくるのだという。
これらの怪異は当然ながら真偽不明である。なにより心霊スポット化した最大の要因は、人の気配が感じられないという不気味さによるところが大きいのではないかと思われる。トンネルを訪れた者の中には、六ヶ迫トンネルとは別の同市にある臼津(きゅうしん)トンネルの方が長さもあり怖いという元も子もないコメントも見られる。
なお、実はこのトンネルでは昔、白骨化した死体が発見されたこともあったという噂もある。昭和13年11月26日第3569号の官報によると、住所氏名不詳の推定50代の男性の死体がトンネル内から発見されたのだという。心当たりのある人は役場に申し出を、と呼びかけもされたようだが、結局その後解決したかは不明である。
この事件が、六ヶ迫トンネルが心霊スポットとして形成されることにどれほどの影響を与えたかはわからない。死体が男性であるにもかかわらず現れるのが女性や子供であるのは少々疑問ではあるが、現実に死体が発見されたというのは心霊スポットとして充分な補強要素になっていることは確かだろう。それでも、官報の内容には”白骨死体”の記述は無いため、それ自体も盛られて付加されたのではないかと考えられる。
心霊スポットというラベリングは、実際の事件すら誇張される要因ともなるのかもしれない。
【参考記事・文献】
トンネル内で女性とすれ違う恐怖!大分県臼杵市『六ヶ迫トンネル』
https://kaii-shiryoukan.com/2023/06/07/post-482/
【道路報告書】旧道・大分県道205号臼杵坂ノ市線(28.03.21)
https://tumu6.blogspot.com/2016/03/205280321.html
心霊スポットの六ヶ迫トンネルが気になったので行ってきた!
https://tabi-and-everyday.com/archives/9527
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【文 黒蠍けいすけ】