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薩摩藩には「肝練り」と言うロシアンルーレットが?「西郷どん」が話題に!





毎週話題となるNHKの大河ドラマ「西郷どん」で、2018年1月28日興味深いシーンが放送された。

鹿賀丈史演じる島津斉興と、渡辺謙が演じる島津斉彬が藩主の座をめぐって父と子でロシアンルーレットをやるシーンが放送されたのだ。このシーンに関してネットでは賛否両論の議論がなされた。

否定的意見の主な批判理由は「あの当時にロシアンルーレットなど有り得ない」というものであった。肯定的な意見の持ち主たちは「創作だから良いのではないか」「あくまでドラマだから構わない」と言う意見が目立った。

しかし、かつて薩摩藩には「肝練り」という火縄銃を使ったロシアンルーレットがあったと言われている。

複数の人間で車座になって座り、天井から火のついた火縄銃を吊るし、ぐるぐると回転させ発射させる。参加した人間の肝を鍛えると言うものであった。現代人の我々から言わせれば正気の沙汰ではない。こんなことが実際に行われていたのであれば、死傷者が出たはずだが、示現流で名を馳せた血気盛んな当時の薩摩藩士なら可能性がないとは言えないだろう。




この「肝練り」と言う儀式は、司馬遼太郎の小説『薩摩浄福寺党』(1961)が元ネタであり、司馬遼太郎の創作ではないかと言われてきた。

しかし、江戸期の文献にその記述が確認できる。『甲子夜話』の巻十八にその記述が見えるのだ。つまり、『甲子夜話』が文献としては一番古く、司馬の創作ではないと言える。

もちろん『甲子夜話』は当時の噂話を記録した都市伝説本と言って過言ない。そういう話があったからといって実際に薩摩藩で行われていたかどうかは定かではない。しかし、一応江戸時代から「肝練り」と言うロシアンルーレットが噂されていたのは事実であろう。

今回の大河ドラマの描写がこの「肝練り」をもとにした表現だとしたら、根拠のない創作だという批判は的確では無いといえよう。

アトラスでは過去に何度か大河ドラマ「西郷どん」の関連記事を掲載してきた。「西郷どんの出演者に降りかかる西郷隆盛の呪い」「西南戦争とスーパーマーズの関係」「西郷隆盛の太り過ぎを心配した明治天皇」「島津久光に関するシンクロニシティー現象」などが人気のアーカイブだ。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像『NHK大河ドラマ「西郷どん」完全ガイドブック PART1 (TOKYO NEWS MOOK 670号)