『未来警察ウラシマン』は、1983年に放送されたタツノコプロ製作のSFアニメ作品。80年代から2050年のネオトキオにタイムスリップしてきた記憶喪失の青年が、「ウラシマ・リュウ」という名を与えられ、彼を保護した機動メカ分署「マグナポリス38」の一員として巨大犯罪結社と戦うというストーリー。
昔話『浦島太郎』をモチーフとした箇所がいくつかあり、その名前はもちろん、主人公リュウのジャケットの左腕にある亀のマークのデザイン、といった点で確認ができる。
なお、作中で説明される「ウラシマ・エフェクト」とは過去から未来に転移することであり、理論物理学において相対性理論で提唱されている「ウラシマ効果」とは無関係だ。
この「ウラシマン」は、実のところ放送途中で設定が変更されている。
ネオトキオで暗躍する犯罪組織ネクライムを一代で築いた総統フューラーという老人のキャラクターがいる。いわゆる本作におけるラスボスであり、リュウが過去からタイムスリップすることを知っており、組織に「ウラシマン(リュウ)を殺してはならない」という厳命を下していた。
また、フューラーの体にはリュウと同じ箇所に傷もあり、リュウの過去の名前と思われる「火浦」が”フューラー”と聞こえる。こうした点から、作中ではフューラーとリュウは同一人物であり、何らかの方法で過去に戻ったリュウがネクライムを築いたのではないか、という疑いもかけられたものの、結局は別人ということで落ち着いた。
ところが、このリュウとフューラーが別人だったという設定は変更されたものであり、二人は同一人物だったというのが当初の設定だったという。実際、前述したように同一人物を匂わせる伏線は作中随所に描かれている。
そもそも「ウラシマン」というタイトルが、リュウが老齢のフューラーになるという暗示が込められているともとれる。
これには二つの説があり、一つは監督の真下耕一が「主役増に一貫性が無い」と判断して変更させたというもの、もう一つはスポンサーが変更するよう指示をしたというものである。
スポンサーの圧力で監督が最終判断を下したという見方も可能かもしれないが、結果として設定変更されたことには変わりない。ただ、このこともあってか、リュウは最後まで素性が明らかにならないままアニメは終了している。
因みに、「ウラシマン」のコミカライズではこの同一人物設定で漫画版独自のストーリーが描かれている。結果として、予定調和とも言える同一人物設定よりも、「思わせておいて実は別人」という変更設定のほうが、評価としては良かったようである。
いわば、設定変更版は、竜宮城に玉手箱を忘れていった浦島太郎のようなものだったのだろう。

【参考記事・文献】
・https://x.gd/5kz8A
・https://x.gd/ys6b9
・https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q118966611
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【文 ナオキ・コムロ】