『快傑ライオン丸』は、1972年4月から73年4月まで放送されていた特撮時代劇作品である。
舞台は戦国時代、日本征服を企む大魔王ゴースンの一味に立ち向かう正義の剣士、獅子丸(ライオン丸)の活躍を描いた物語であり、ライオン丸の最大の特徴である”獅子顔の武者”というデザインをはじめ、ライバル・タイガージョーの登場など、視聴者を飽きさせないふんだんな演出を凝らした作品となった。
主人公の造形のインパクトもあり、70年代に日本のプロ野球の助っ人外国人として活躍したジョン・シピンは、その長髪と髭面から「ライオン丸」の愛称で呼ばれた。
本作は、激しいアクションがなされながらも、スタントがほぼ使われていなかったためほとんどが俳優自身の生身でのアクションとなっていた。この場合、演者の事故やケガなどが発生することも当然ながら珍しいことではない。
通常、主役が事故で大怪我をした場合は、放送を一時中断あるいは一時フェードアウトするというケースが多かったが、本作で主役・獅子丸をつとめた潮哲也は、第7話の撮影中に足を骨折したにもかかわらず、そのまま続投して上半身だけのアップや吹き替えで乗り切るといった形で対処された。このことから、撮影自体はかなり過酷であったことがうかがえる。
因みに、潮は本作が初の主演作となったわけだが、クランクインわずか5日前に獅子丸役が決定し、そこから乗馬や立ち回りなどを練習することになったという。そもそも、彼自身本格的な芝居がそれまで未経験だったこともあり、怒涛の日々を送っていたことは想像に難くない。
本作は、演出にも豪快な部分があり、特に第1話で獅子丸の師匠・果心居士の小屋が燃やされるというシーンは、なんとセットで建てられた小屋ではなく実際に取り壊されることが予定されていた実物の廃屋が使われた。つまり、この小屋炎上のシーンはたった一回きりのカット無し撮影であったというわけだ。もちろん、持ち主の許可を得て行なわれた。
余談だが、ライオン丸はその真っ赤な衣装が非常に目立っているが、当初のカラーリングはピンク色だったという。ピンク衣装のライオン丸は、当時雑誌先行でお披露目された撮影会用のカラーリングだったようだが、「これではテレビ映えしないだろう」ということでピンク色衣装は封印され、結果現在の形に落ち着いた。
このNGカラーのライオン丸は、なんとソフビ人形化して2025年3月から4月末まで、期間限定でオンライン受注販売されている。
【参考記事・文献】
・https://zarabkemul.seesaa.net/article/2018-04-17.html
・https://ameblo.jp/haimirich/entry-12684722805.html
・https://x.gd/oRz0k
・https://sofvi.tokyo/250324-ppro/
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【文 ZENMAI】