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「久保田早紀」 異国情緒漂うヒット『異邦人』元々のイメージは東京だった?

久保田早紀は、歌手、キリスト教音楽家などで活躍する人物。

デビュー曲かつ大ヒット曲となった『異邦人』で知られており、現在は「久米小百合」という名で活躍、シルクロードの異国情緒を思わせる印象深い「異邦人」は、彼女自身が作詞作曲を手掛けた。プロデューサーの酒井正利によると、三洋電機から新発売のカラーテレビのCM用で使う曲の依頼をされたという。

また、条件にはほかにも「シルクロードをイメージしたもの」や「新人の歌い手がいい」というものも含まれていた。この時、ソニーのオーディション出身者であった久保田に目を付けた酒井は、彼女と彼女の作った曲を採用することに決定。

この曲こそが「異邦人」であったが、実は原曲のまま使用されたのではなく一部変更や編曲がされ、そもそもタイトルも『白い朝』だった。

この当時、世間ではジュディ・オングの『魅せられて』や庄野真代の『飛んでイスタンブール』など、異国風情を意識した曲がヒットしていたこともあり、「白い朝」もこれに倣い異国情緒を盛り込んだアレンジが加えられ、タイトルも変更された形でリリースされることとなった。

因みに、この曲がリリースされた翌年(半年後)には、NHK特集「シルクロード」の放送が開始されていて、撮影時期などから逆算すると、代理店やマスコミなどですでにシルクロードが注目され始めていたという事情も、先の「シルクロードのイメージ」という依頼にも通じたのではないかと思われる。

さて、その「異邦人」の大元となった「白い朝」だが、以上のような背景もあってもちろん初めからシルクロードをイメージした楽曲というわけではなかった。彼女がこの曲のイメージを膨らませたのは、実は中央線の電車の中。

小金井から国立近くに差し掛かると目の前に空き地がいくつもあり、子供たちの遊ぶ様子が見えた。普段はメロディから浮かぶという彼女は、ここで初めて「子供たちが空に向かい 両手をひろげ 鳥や雲や夢までも つかもうとしている」という歌詞からイメージが出来上がり、その後徐々に曲の原型を作り上げていったという。

「異邦人」の元々のイメージは、実は東京都内だったというわけだ。

【参考記事・文献】
https://dic.nicovideo.jp/a/%E4%B9%85%E4%BF%9D%E7%94%B0%E6%97%A9%E7%B4%80
https://popups.hatenablog.com/entry/2020/11/30/070000
https://ameblo.jp/ranpou7/entry-12879860805.html

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【文 ナオキ・コムロ】

画像『DREAM PRICE 1000 久保田早紀 異邦人