インダス文明は、メソポタミアやエジプトと並ぶ古代文明の一つとして知られている。紀元前2500年から前1700年ごろ、インダス川に沿って流れていたガッガル・ハークラー川周辺に栄えたと言われる文明で、3つの文明の中でも最大だったと言われている。
他の文明と異なり、ある時突然崩壊し消滅したとも言われており、代表的な遺跡モヘンジョダロやその近辺に見られる様々な逸話や痕跡などから古代核戦争説が唱えられているなど、現在でも謎の多い文明として紹介されている。
そのインダス文明下で使用されていたとされる「インダス文字」(印章文字)も、今なお未解読となっている文字として知られる。
インダス文字は、モヘンジョダロやハラッパーといった遺跡から発見された。メソポタミアでは楔形文字、エジプトではヒエログリフといった文字が使用されており、すでにその二種は解読されているものの、このインダス文字は、短い文としてしか残されていないことや、発見されている文字の遺物が極端に少ないなどといった多くの事情から、現在でも解読は難航している。
約400の記号から構成される文字体系で、約250文字が一般に使用されていたと推定されており、動物や神あるいは人間の姿が彫られ、商業活動・行政や宗教といったものが記録内容だったと考えられている。
インダス文明の遺跡は先進的で大規模なインフラを整備していたことがわかっており、当時の技術や生活を知る上でインダス文字の解読は大きな期待を寄せられている。
しかしながら、いくつもの説がありながら解読に至る成果は上げられていない。一部では、ヒエログリフ解読のきっかけとなったことで有名な「ロゼッタストーン」のような遺物の発見しか、インダス文字解読の突破口にはならないという主張もある。
その中で、インダス文字がある文字と非常に酷似しているという話がある。それは、年代的にも距離的にも離れているイースター島のロンゴロンゴ文字だ。
1866年、フランス領タヒチでフランス人司教が、イースター島民の贈答品の中からその文字を発見した。1932年に、インダス文字とロンゴロンゴ文字の偶然とは思えない類似性が指摘されて以来、こんにちに至っても両者が何かしら関係しているのではないかという説は絶えない。ただ残念なことに、ロンゴロンゴ文字も未解読言語である。
これについては、楔形文字がある一定期間、ある程度の地域で複数の言語で用いられていたということ(例えば同じアルファベット体系を持つドイツ語とフランス語というような例)から、直接的には無関係な全く異なる言語ではないか、という反論もある。
しかし、どちらも周囲文化との接触が少ない独自の発展を遂げた文明のはずでありながらも、偶然とは思えないほど文字の形状があまりにも似ているという点が、やはり注目される大きな要因となっていることは確かだ。
なおインダス文字の解読については、近年AIによる分析も進められており、2025年1月にはインドのタミル・ナードゥ州から解読に1億5000万円の報奨金も掲げられた。
【参考記事・文献】
・https://anandamidegreen.com/2025/03/09/indus/
・https://worldglobalist.com/indas-letter
・https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/011100013/
・https://kodaimoji.chowder.jp/pdf/pdf11/inui142.pdf
・https://aristoteles-bookshelf.com/rongorongo/
・https://scienceplus2ch.blog.fc2.com/blog-entry-496.html
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【文 黒蠍けいすけ】
画像 ウィキペディアより引用