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謎だらけの遺跡「モヘンジョダロ」滅亡は古代核戦争によるものなのか?

パキスタンのシンド州にあるモヘンジョダロは、インダス文明を代表する都市遺跡だ。今からおよそ4500年前に繁栄したモヘンジョダロは、多い時には40000人もの人々が生活していたと考えられている。「モヘンジョダロ」という呼び名は地名などではなく、現地の言葉で「死の丘」を意味している。

インダス文字もいまだ未解明であるため、繁栄当時どのような呼び名をされていた都市であるかも不明なのだ。また、「死の丘」と呼ばれていたのも、地元の人々がこの場所を恐れて近付かなかったことに起因しており、遺跡として発見されたのも1922年のことである。

モヘンジョダロは、地下に何層も遺跡が重なっており、赤外線調査によって7層にもなっていると言われているが、塩分を含んだ地下水における土壌の浸食や崩壊によって、発掘をより困難なものとしている。また、最大の特徴は、その高度な建設技術の痕跡である。排水・下水システムのほか、焼き煉瓦と石膏モルタルと使用した家づくり、貯水槽、沐浴場、計画的な街づくりといった、現在でも十分に通用する技術がもりこまれているのだ。


だが、そこまで高度に発達した都市であるが、きわめて短期間に衰退し滅亡したのではないかという説が近年の研究で浮上してきた。奇妙なのは、発見されたいくつもの人骨である。遺跡内で発見された46体ほどの人骨は、路上や井戸周辺などあちこちの場所に横たわった形で発見され、折り重なっているものもあった。

そんなモヘンジョダロの滅亡については、「古代核戦争」があったのではないかという説が唱えられている。1978年、古代史研究家のD・ダヴェンポートとE・ヴィンセンティが現地調査したところ、現地の人々が立ち入りを制限していた場所からガラス化した石が散乱しているのを発見され、のちの分析によると、「非常に短時間で1400~1500以上もの高熱で溶かされ、急激に冷却したものである」との結果が出た。

このガラス化した石は、砂漠の核実験場でも見られる現象であることから、当時に核兵器もしくはそれに匹敵する兵器によってモヘンジョダロは滅亡したのではないかと考えられたのだ。さらに1966年には、発見された骸骨の中に自然レベルの50倍以上の放射線を含んでいるという報告が、イギリスの作家アレクサンダー・ゴルボフスキーの著書でなされているという。

これらの証言と、そしてこの地が「死の丘」として恐れられていたことからも、モヘンジョダロが内乱か、もしくは外部からの侵攻などによる核戦争によって滅んだという説が強く主張されている所以となっている。古代インドの叙事詩「マハーバーラタ」や「ラーマーヤナ」には、核兵器と思しき兵器が記されており、古代に実際に発生した戦争をモチーフとしているのではないかと考えられ、それがモヘンジョダロに関係しているとも言われているのだ。




しかしながら、この古代核戦争説は非常に信憑性が疑わしいとされているのも事実である。ガラス化については捏造説が浮上しており、先の発見者2人の行方については現在わかっておらず、また現在の専門家も、ガラス化した石や町を確認できていない。

Google Earthなどによっても場所の特定がなされていないのが現状なのだ。

では放射線量についてはどうか。火山の爆発においては大量の放射線も放出されるが、先に述べた通り火山の噴火は考えられない。そこでもう一つ考えられたのは、隕石の衝突である。隕石には宇宙線と呼ばれる放射線が含まれており、このことが大量の放射線として測定されたのではないかとも考えられているが、モヘンジョダロ周辺からはクレーターも発見されていない。そもそも現在では、この放射線量の報告自体の真偽も不明な状態となっている。

モヘンジョダロは災害、特に洪水の被害を何度も受けたことがわかっている。そのため、この滅亡についても、大規模な洪水によるものであるという考えが一般的なようである。いずれにせよ、遺跡の解明が殆どなされていないため、その多くを推測で補強するしかないのが現状である。

【参考記事・文献】
並木伸一郎『神々の遺産オーパーツ大全』
大昔に核戦争はあったの?
http://sinricounselorgakiru.jp/blog-entry-33.html
モヘンジョダロとは?謎の遺跡の特徴や核戦争について解説
https://zatsugaku-circle.com/mohenjo-daro/
【パキスタン】もはや解明不可能?謎の文明「モヘンジョ・ダロ」
https://tripnote.jp/pakistan/moenjodaro
モヘンジョダロの謎!古代核戦争で滅んだ証拠と信憑性は?
https://x.gd/iMHlk

(黒蠍けいすけ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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