これは怪談ではないのかもしれませんが、福岡に住んでいた大学時代、自分が2年生頃から住んでいた下宿が奇妙な家でした。
二階建てのボロボロの離れ家で、大家が近くにいるのです。毎月の家賃がなんと九千円・・・学生にとっては、魅力的じゃないですか。
その家は二階建てで、一階と二階に一人ずつ住んでいました。僕は十畳二間くらいある二階を借りていましたね。
でも気持ち悪いんですよ。壁に妙なお札が幾つも貼ってあったり、なぜか理由は不明ですが、三角巾が柱にかけてあったりしました。
後輩なんかも遊びに来ましたが、恐がりましたね。”見える”後輩によれば、この家はやばい物件だというのですよ。
「先輩、やっぱ何かいますよ」
後輩の青ざめた顔に胸のうちではおののきながらも「嘘だろ、脅かそうと思ってるんじゃないの?」と強がってみせたのです。
「本当ですよ。見知らぬ女の影が窓に映ったんですよ」という話をするのです。
少々不気味でしたが、自分はたまに金縛りに遇う程度で、とくに何も見ませんでした。
母屋に住む管理人は90幾つかのおばあさんで、自分のことを「老婆」と呼称し、息子を「爺さん」と呼んでいました。不思議な親子なんですが、ある朝の事。
「Tさ~ん」
という声が聞こえます。どうやら、僕を呼んでいるみたいですが、あまりにも眠いので放っておくと、何度も何度も聞こえます。
「Tさ~ん、Tさ~ん」
「はぁ、なんですか」
渋々、僕が目を覚ますと・・・
・・・この老婆が覗き込むように枕元に立っていました。
さすがに不気味でした。もちろん生身でしたが、危うくこちらの心臓が止まりそうでしたよ(笑)。
ただ単純に、伝言があっただけみたいですが、枕元に立つのはかんべんしてほしいですよ。
(福岡県在住匿名さん ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
Leo CastrumによるPixabayからの画像