前田敦子は、現在女優として活動する女性であり、アイドルグループAKB48の元メンバーである。「不動のセンター」などと称されたほど、所属当時はほぼセンターポジションを担当、2011年にはメンバー初のゴールデンタイム連続ドラマの主演(『花ざかりの君たちへ』)を務めた。
グループに恋愛禁止のルールが設けられたのは、所属間もない16歳の頃に彼女が当時付き合っていた男性から裏切られ、精神が病んでしまったことがきっかけであると言われている。
もともと、引っ込み思案だった彼女の将来を案じた母親が、オーディションを受けさせたことがアイドルデビューのきっかけになったと言われている。10代という若さであった彼女は、本人も「歌やダンスに自信がない」と自覚するほど非常に内向的な様子であった。そんな彼女の転機は、AKB劇場公演2ndにて初めて概念として生まれた「センターポジション」に抜擢されたことに始まった。
初期のAKBの顔として大々的に活躍する一方でアンチも急増することになり、握手会では「もっと可愛い子がいるのに大変ですね」など辛辣な声も多数受けていたという。自身も、自分より歌やダンスが上手いメンバーがいるのにという心持ちであり、センターになることを非常に嫌がっていたという。
最も象徴的だったのは、AKB初の総選挙でのこと。当時、多くのファンたちはこの総選挙が前田のセンター承認選挙に過ぎないと感じていた。だが、予想外のメンバーが上位にランクインしたことで、このイベントが真剣であることを悟り始めた。
それは第2位の発表直前でのこと。前田淳子と大島裕子、どちらが栄冠を勝ち取るか皆が固唾の呑むその瞬間、前田コールが突如として巻き起こった。このコールは、前田が2位になれというアンチコールであり、司会や劇場支配人も戸惑いを隠せなかった。結果は前田が1位となったが、当日体調不良で臨んだ大島に多くのファンが同情するという空気もあり、17歳であった彼女にとってとても喜べる舞台ではなかったという。
センターというポジションは、争奪が激しいものであるという認識はそれ以前からなされていたが、AKB総選挙によってその価値は神聖化するほど飛躍的に高まったと言ってもよいだろう。そして、その重圧が前田に大きくのしかかったことは言うまでもない。それでも、彼女はグループの顔として、メンバーたちにも降りかかる批判やアンチを一心に抱えるような形で耐え続けた。
3度目の総選挙で再び頂点となった彼女の「私のことが嫌いでも、AKBのことは嫌いにならないで下さい」という発言は、過去に例のないアイドルによる壮絶な訴えとして多くのファンに重く突き刺さり、今でも伝説として語られている。
なお、選抜総選挙で1位になった歴代メンバーのうち10代で頂点に輝いたのは彼女が唯一であり、また2度も頂点を勝ち取ったのも彼女のみである。そうして2012年、惜しまれつつも彼女はAKBを卒業することとなった。
彼女のアイドル生は、アンチとの葛藤にあったことは間違い無い。SNSで一切の愚痴も文句も言わずして、ファンは迎え入れアンチとは戦う、何より「自分自身が最大のアンチ」と自称するほどに厳しいルールを課していたことは、広く語り草となっている。
実は、そうした彼女のアイドルとしての生き様は、最初から彼女の「名前」に秘められていたという都市伝説がある。これは、ネット掲示板にて書き込まれたものが発端であるとされているが、その内容は以下の通り。
「敦子」という名前は彼女の祖父の命名とのことだが、祖父は男の子であってもこの字を入れようとしていたほどこの字に拘っていた。彼女は、かつてANNにて「先祖がお城の前に立っている人だった」らしいと語っていたようだが、この「敦」という字は「享」(城の土台や盛り土のこと)と「攵」(打つ)というパーツから成り立っており、「城の前に立っている人」すなわち「城を護る門番」とも暗示されているのではないかという。
さらに、「子」の字についてはよく知られている話であるが、「一」「了」の2つに分けられることから子の字は「最初から最後まで」という意味が込められているという。すなわち、AKBという城を護り抜く門番のごとくその使命を果たす役割を、彼女が追ったことは必然であったのだろう。
【参考記事・文献】
【生ける伝説】アイドル界の奇跡「前田敦子」の真実とすごさとは
https://torisisyo.com/medaatuko/
前田敦子が変えたアイドルにおける“センター”の価値 AKB48卒業から10年を機に振り返る
https://realsound.jp/2022/08/post-1112222_2.html
前田敦子のあの名言は、残酷なコールから生まれた
https://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/201804230000471.html
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【文 黒蠍けいすけ】
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