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世界各地で伝承される「底なしの湖」、なぜ”底なし”と称されたのか

印象的な深さを持つ湖やユニークな地質学的特徴を持つ湖は、その真のスケールを不明瞭にするため、しばしば誤解を招くような「底なし湖」というレッテルを貼られる。

底なしの湖は現実に存在しないが、いくつかの湖は途方もない深さまで沈み込んでいたり、果てしなく続いているかのように錯覚させる特徴を備えていたりするため、印象的にそうであるように見える。

世界で最も深い湖

地球上で最も深い湖であるバイカル湖は、水深1,642メートルという驚異的な深さに達する。ロシアのシベリアに位置し、地球上の未凍結淡水の約20%を含み、体積では最大の淡水湖である。

約2500万年前に形成された世界最古の湖として知られるバイカル湖の驚くべき深さは、プレート境界が分岐しているこの地域の地殻変動による影響もある。地球上で最も深い大陸の裂け目に位置するバイカル湖は、300以上の川から水が供給され、たった1本の川から排水されている。

底がないと思われがちなもう一つの湖は、ザンビア、ブルンジ、タンザニア、コンゴ民主共和国と国境を接するアフリカのタンガニーカ湖だ。水深1,436メートルで世界で2番目に深い湖であり、660キロメートルに及ぶ最長の淡水湖でもある。汽水域にあるこの湖は、アフリカ東部と西部の花の地域の交差点に位置し、多様な動植物が生息している。

陥没穴とセノーテ

信じられないほど深い湖は別にして、「底なし」に見える最も説得力のある水域のいくつかは、陥没穴またはセノーテの形をしている。これは、洞窟の構造物の上部が崩壊し、水で満たされた大きな空洞が露出したときに形成されるものだ。

セノーテは、時に広大な洞窟の周囲に形成されるため、地表からは単なる湖のように見えるが、底は深く、洞窟のような空間が広がっている。ユカタン半島でよく見られるセノーテは、かつて儀式的な供物の場として使われていた。そこでは物、時には人間が、一見果てしなく思える深みに投げ込まれた。

カリブ海にあるグレート・ブルーホールは、落差124メートルもの巨大な海底陥没穴だ。この穴の航空写真では、浅い海水に囲まれた広大な洞窟であることを示しており、この魅力的な構造と澄んだ海水によりダイバーの人気スポットとなっている。

アメリカでは、ニューメキシコ州のボトムレス・レイクス州立公園に、深さ5.5メートルから27メートルの9つの陥没穴がある。「底なし」という神話が生まれたのは、その湖の濁りが原因かもしれない。しかし、公園の名前の由来は、メキシコのカウボーイであるバケロの一団が、湖の深さを測るためにロープを結びつけて、水中に落としたことにあると言われている。ロープが湖底に届かなければ、その湖は「底なし」とみなされたのだ。

本当に底のない湖は存在しない。だが、印象的な深さや果てしなく続くかのような特徴を持つ湖はそれに近いものを感じさせる。これらの湖は太古の生態系を保存し、地球の歴史に貴重な洞察を与えてくれる。本当に底のない湖を見つけることは不可能かもしれないが、その下にあるものは依然として魅力的であることを証明している。

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【文 ZENMAI】

Photo credit: wstera2 on VisualHunt