三種の神器の一つである八咫鏡(やたのかがみ)は、瓊瓊杵尊が天孫降臨の際に天照大神から授けられたものとして伝わり、伊勢神宮と皇居に安置されていると言われる。
皇居に安置されているものはレプリカであるとのことだが、すでに消失して現物が存在していないとする説や、偽物とすり替えられたとする説など、現在でも多くの意見が交錯している。
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三種の神器は、皇位継承儀式に不可欠でありながら、天皇ですらその現物を見ることが許されない。かつて昭和天皇の弟宮である三笠宮崇仁親王は、陛下はもちろん、誰も見たことがないという事実を認めていたという。
ところが、皇族ですら目にすることができないはずの三種の神器、八咫鏡に対し、明治期に入ってこの目で見たという者が幾人も現れたという。それらの報告は、大臣および将校によるものだった。
中でも最もよく知られているのが、初代文部大臣であった森有礼の例だ。
ある時、森が八咫鏡の本体が安置されている伊勢神宮を訪れた際、強引にその八咫鏡の本体を実見、こんにちでいう大炎上を起こしてしまったというものだ。のちに、彼は伊勢神宮の神職らによって参拝が拒否され、また国粋主義者の手によって暗殺されてしまった。
この八咫鏡実見の話は、他にも海軍将校であった矢野祐太郎による目撃談もある。また森と彼の話では、八咫鏡の裏にヘブライ語が記されており、矢野はその記されていたという「ヘブライ語」(エヘイェ・アシェル・エヘイェ=われは在りて有るもの)を模写したと言われている。
ところで、森が八咫鏡を実見したというのは果たして本当のことなのだろうか。
彼は大々的に見たことを主張していた、とも語られることがあるものの真偽は定かではない。
一説では、森が八咫鏡を見たという話は、虚偽の報道によって広まったものではないかと考えられている。彼が伊勢神宮から参拝を拒まれ、また暗殺されたということ自体は事実であるが、これらは八咫鏡の実見に起因するものではない。
当時の森は、欧米の影響を強く受けた教育政策を打ち出しており、日本語廃止論・英語採用論を唱えていたことは有名だ。これによって森は大きな批判を受け、彼と反対の立場であった神職らが、彼の伊勢神宮参拝を拒否したというのが実際だったという。
そんな批判の矛先として標的となった森に、伊勢神宮からの参拝拒否というトラブルは報道による恰好の餌食となり、神宮内に土足で侵入といった全くのデタラメが新聞各紙によって報じられることとなった。彼の暗殺は、こうした記事を鵜呑みにした者による犯行であったという。
八咫鏡実見は、そうして生み出されたデマの一つだった可能性は大いにあり得るだろう。
因みに、八咫鏡のヘブライ語云々に関しては、明治初期のころ来日し滞在していたスコットランドの商人ニコラス・マクラウドによって持ち込まれた「日ユ同祖論」に影響されたものではないかとも考えられている。
森への反発と新たな外来の言説流布が同時期に重なり、結果として融合し都市伝説化したものだったのかもしれない。
【参考記事・文献】
・https://www.rekishijin.com/36274
・https://x.gd/xyrLz
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【文 黒蠍けいすけ】
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