未確認生物らしき「見たこともない生物」の姿が、はっきりと動画に収められるというケースはほとんどない。
最古の未確認生物を捉えた映像とされる、ネッシーを映した「ティム・ディンスデール・フィルム」は距離が遠く不鮮明な白黒動画であったし、他の動画も水面下や木々の間にそれらしき影がちらりと見えるのがせいぜいだ。
そんな中で、特に鮮明に姿が映っている事で有名になった未確認生物がいる。
トルコ最大の湖ヴァン湖にて撮影された動画には、静かな水面に波を立てて泳ぐ怪生物の姿が写し出されていたのである。やがてカメラが生物にズームしていくと、それが既存の生物とは違った姿をしている事が解る。頭部は焦げ茶と一部明るい茶色になっており、黒くつぶらな目が確認できる。
目の近くには小さな泡が浮かんでは消えていることから、この生物は紛れも無く生きている生物であることが解る。
テレビで流れた鮮明な映像を覚えている人もいるかもしれない。日本では「ジャノ」の名前で呼ばれているこの怪物は海外では「Lake Van Monster」「ヴァナ」「キャナヴァー」などの名称で呼ばれることが多い。
ジャノの大きさは約15〜20メートル、非常に長い体をしていると言われている。ジャノの目撃情報は1990年代より急増しており、長い体をくねらせて泳ぐ姿や潮吹きらしき奇妙な波が上がる所が目撃されていた。
この動画は1997年、ヴァン大学にて教育助手を務めていたウナル・コザック氏によって撮影されたものである。なお、氏は2年間ジャノの調査を同地にて行っていたそうだ。
古来よりヴァン湖には「ヴィシャップ」という龍に似た巨大な怪物が住んでいるという伝説があったため、現地では「伝説の生物が映像に捕らえられた」と騒動になった。
しかし、ヴァン湖は非常に塩分濃度が高く、アルカリ性の水質をしており、一部の魚しか生息できない環境にあった。そのため、とても巨大生物が生息していけないとする判断が下されたのだ。
この鮮明な動画に関しては、実は張りぼての仕掛けを利用して撮影したものであるとみられている。撮影者のコザック氏は後年、このハリボテの制作費をめぐる金銭トラブルで話題になっており、現在本国トルコではこの映像の信ぴょう性は非常に低いとする考えが一般的になっている。
また、湖底から湧くガスと漂流物が巨大な生物の一部に見えるという説や、湖を遊泳して横断中のゾウだったとする説も存在している。
リアルな動画だからといって、未確認生物が実在している証拠に繋がるとは言い切れない、という実例である。
※写真はYOUTUBEからのキャプチャ
(飯山俊樹 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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