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行ったことが無いのに記憶が…「デジャブ」現象のメカニズム解明に科学が迫る

これまで一度も足を踏み入れたことがない場所なのに、なぜか前にも来たことがあるような気がする。そんなデジャブ現象の経験がある人もいるのではないだろうか。

この不思議な感覚を引き起こす要因については、例えば類似した記憶に当てはめて認識したことで生じるなど、様々な仮説が唱えられていたが科学的なメカニズムで立証された訳ではなかった。

そこで研究者らは、「催眠術を使用して単純な記憶を作成、その記憶が忘却された後に特定のトリガーによって記憶が再生されるか」といった2006年に行われた研究をはじめ、実験室条件下でデジャブを再現しメカニズムを解析しようと試みた。

最近では、VRを使用して「同じレイアウトでテクスチャや風景が異なる仮想ゲームの世界」を見せることで疑似記憶を作ってもらう、という実験も行われている。

デジャブ現象の最も一般的な解釈は、人が既存の記憶と非常に類似しているが完全には一致しない体験と認識したときに引き起こされる記憶現象であるという。

この分野での専門家である、セント・アンドリュース大学の心理学・神経科学学部の上級講師、アキラ・オコナー博士は以下のように語っている。

「デジャブの際に何が起こるかを私たちが考えるかどうかは、脳の組織についての理解に依存します。内側側頭葉(頬骨と耳の近くにある脳の部分)には、記憶を定着させ、物事を思い出しているという感覚を与える役割を担う部分があります。額の前部には前頭皮質という脳の別の部分があり、これはいわゆる高次認知機能と関係しています。つまり、推論、意思決定、事実確認といった機能です」

「デジャブは、何らかの理由でこの内側側頭葉に異常が生じ、親しみやすさとして知られる記憶感覚が引き起こされたときに発生することがあります。すると脳が過剰に興奮し、この場所、出来事、または状況を以前に経験したことがあるという信号を送り始めます。すると、なじみのあるものを見つけたという意識的な感覚が生まれます」

「この感覚はその後、前頭葉皮質を通過し、脳は、その状況を以前に経験した可能性があるかどうかを処理すると考えられています。ファクトチェックプロセスで、これが発生する可能性がないと判断されると、前頭葉皮質は、その感覚はエラーであると信号を送り、デジャブサイクルが完了します」

研究によると、デジャブの頻度は年齢によって変わる可能性があるようだ。

オコナー博士は「人々がデジャブを訴え始めるのは5歳くらいからであることが分かっている」と語る。5歳からデジャブは増加し、20代前半から中頃にかけて経験がピークに達し、中年期には最終的に減少するようだ。

またデジャブを経験することは、良いことでもあるようだ。この現象は、脳の事実確認部分が正常に機能し、状況や出来事を正確に思い出すのに役立つ兆候であるという。

(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

vat loaiによるPixabayからの画像