ロバート・デ・ニーロは、ニューヨーク出身のイタリア系アメリカ人の俳優。
幼い頃から演技に憧れを持ち、『ゴッドファーザー』のオーディションは不合格となったものの、フランシス・フォード・コッポラ監督が密かにその演技力を評価していたことで、「PART Ⅱ」にて主人公の一人ドン・ヴィトー・コルレオーネ役に起用されたことでアカデミー賞を受賞、それと同時に人気俳優となっていった。
デ・ニーロと言えば、その圧倒的な演技力と尋常ではない役作りが特に知られている。
役作りのために体重の増減をさせるというような話は俳優においてよく聞かれる話ではある。三國連太郎やニコラス・ケイジなど、役作りのために歯を抜いたというエピソードを持つ俳優は多いが、デ・ニーロの役作りはそれらをはるかに凌駕する。
『タクシー・ドライバー』(1976)では、運転手役を演じることになった彼は、実際にタクシー運転手として3週間ほど働くというアプローチを行い、『アンタッチャブル』(1987)では、かつて実在し麻薬王と呼ばれたアル・カポネを演じた際にその本人のルックスに合わせて額の生え際の髪の毛を全て抜いた。
『ケープ・フィア』(1991)で憎悪と復讐心を蓄積させた犯罪者を演じた際には、リアルな凶悪犯に見せるために50万円かけて汚い歯にした。
因みに、前述した体重の増減についてはデ・ニーロがその原点であると言われており、『レイジング・ブル』(1980)にてミドル級ボクサーを演じることになった際には、ボクサーらしい肉体を作り上げただけではなく、引退後の太った姿を再現するために27kgも体重を増量させるなど、驚くべき変貌で演じきった。
彼のこれら尋常ではない役作りについては、現在、完璧な演技への取り組みを総称として「デ・ニーロ・アプローチ」という映画用語にまでなっている。
彼の役作りは、肉体改造に留まらず、境遇や環境を体感した上で成立させたものとなっている。『ゴッドファーザーPART Ⅱ』(1974)では、配役がシチリア生まれだという設定だったことから実際にシチリア島に住んでさらにイタリア語をマスター。
『エグザイル』(2012)では、ホームレスを演じる為に、マサチューセッツ州のっホームレス施設に帽子とマスクで変装し潜入、完全に周囲に溶け込んでおり、果ては雪の降るニューヨークの街へホームレスになりきって繰り出したこともあった。『ミッドナイト・ラン』(1988)では、本物の賞金稼ぎと生活を共にしたことで「捕獲の瞬間・張り込み・捜査」のやり方を学んだと言われている。
ただ、その中で『ディア・ハンター』(1978)については、主人公たちがピッツバーグ出身ということから実際にピッツバーグに住んだものの、役柄でもある鉄工所については現地の人から拒否されてしまい、惜しくも鉄工所で働くことはかなわなかったそうだ。
【参考記事・文献】
・https://safarilounge.jp/online/culture/detail.php?id=4995&p=2
・https://x.gd/1Tc4z
・http://showbizparadise.denshishosekidaio.com/2016/05/06/post-329/
・https://anincline.com/robert-de-niro/
・https://news.yahoo.co.jp/articles/291d5d9e20295c19f31ccb35df3c309701ddb24e
・https://pikarine.net/6942.html
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