芸能人の話題において、共演NGや不仲が囁かれるような話題は尽きない。ビートたけしにもそのような話がいくつも存在している。それらは、北野武として活動している彼の映画に対しての評が原因とされているもののほか、彼との交友関係にあるような人々に起因するような例も多い。
その中でも特に強く不仲である関係が囁かれている相手が津川雅彦であった。
津川雅彦と言えば、俳優や映画監督して活躍していた人物であり、兄は俳優・長門裕之、妻は女優の朝丘雪路、父は歌舞伎役者の四代目澤村國太郎で母は女優のマキノ智子であるなど、芸能の一家として知られる人物。
2018年にこの世を去った彼であるが、癖のある風貌や演技から役者として確固たる地位を獲得し、特に大河ドラマでは徳川家康役を5度もキャスティングされたことから、家康と聞いて彼をイメージする者は今も多い。
共に映画監督までこなしていたビートたけしと津川雅彦が、なぜ不仲と呼ばれるような関係になったのか。それは津川雅彦のある行動が原因であったと言われている。
かつて、フリーのアナウンサーとして活躍し、ビートたけしと共に『平成教育委員会』をはじめとした息の合った掛け合いで国民的な人気を得ていた逸見政孝。当時はほぼ例がなかった、ガンであることの公表をしたことで芸能界や世間に大きな衝撃を与え、1980年に48歳という若さで逝去した。
きっかけとなったのは、逸見がガン手術を行なった時のこと。
外科医院で行なわれていたというこのガン手術の様子を、なんと津川雅彦が観覧していたというのだ。話によると、津川は自身の人脈から知り合いの医師に頼み、”役作り”の勉強のために逸見の手術の様子を見ていたそうだが、このことは逸見本人やその家族にすらも承諾を得ていなかったというのである。
このことを世間に知られ彼は痛烈なバッシングを受けたということだが、それと同時に、逸見の告別式で号泣したほどの仲であったビートたけしにとって、この津川の行為は決して看過できるものではなかった。ビートたけしとなると毒舌をイメージするが、こと津川に対しては彼の話題が出てきても完全に無視をするというほどの態度であったと言われている。
一方、ビートたけしに対する津川雅彦の放言などもきわめて強い批判的な口ぶりであった。特に映画については「大した映画の撮れないくせに」と言い放ち、方々の番組で北野映画の話題が出るたびに批判していたという。
その内容は、『アッコにおまかせ』にて「傲慢ですよ」と言い放ったり、伊丹十三の「マルタイの女」の完成パーティ冒頭挨拶にて(「HANA-BI」がベネチアで金獅子を獲ったばかりのころ)「自分だけ賞を取って、役者も育てない、経済にも貢献しない、そんな映画とんでもない」などと言ったりと、内容よりはビートたけし自身への批判が多かったようだ。
しかし、逸見政孝の件から見ると両者の不仲という関係は、ビートたけしの完全無視という態度に津川雅彦が逆恨みをしたというようにも見えてしまう。実際に彼らがどのような段階で不仲と言われるようになったかについては定かではない。ただ、津川に関しては兄である長門とも不仲であったという説があるなど、ビートたけしに対してはまた異なった怨恨があった人物のようである。
因みに、テレビが日本人、日本文化を弱体化させたとの持論を展開し、晩年は現代日本を痛烈に批判した著作でも知られた脚本家・林秀彦は、その自著の中で日本人の礼節の崩壊の原因をビートたけしの登場によるという知人の意見に納得したという旨の記述をしている。
津川も生前は保守思想の強い人物として知られていたが、こうした個性的な保守思想の立場の人間にとって、ビートたけしという卓越した存在は許容できないポジションとなる傾向があったのだろうか。
【参考記事・文献】
津川さんの北野武批判について。
https://manji-ex001.hatenadiary.org/entry/20080623/1214216496
ビートたけし(北野武)と共演NG・仲が悪いと噂される芸能人まとめ!
https://renote.net/articles/191234
ビートたけし 共演NGなアノ人を完全無視のドン引き理由は…
https://www.navi-trend.com/781.html
【文 ZENMAI】
Tomislav JakupecによるPixabayからの画像