金田正一(まさいち)は、かつて国鉄スワローズ、読売ジャイアンツに所属、のちにロッテオリオンズにて監督・コーチを務めた元プロ野球選手(投手)である。
2019年に86歳で没したが、通算最多勝利記録、通算最多奪三振記録、最多投球回記録、連続無失点記録など、数々の記録を打ち立てた名選手であり、「球界の天皇」「金田天皇」とも称された。通称では「カネやん」と呼ばれ親しまれ、背番号34は巨人の永久欠番にもなっている。
高校2年生の頃、投手として活躍していた彼の剛速球に目を付けた国鉄からスカウトされたことで、1950年にシーズン途中で入団。当初は甲子園を目指していたが、予選敗退してしまい、スカウトもあったことで中退することとなる。
またプロ初登板を果たした際はサヨナラ負けを喫したものの、2年目にして、第1回オールスターゲームにも選出され、同年には阪神戦においてノーヒットノーランも達成した。
投手として逸材であった彼であるが、実のところコントロールが非常に悪く、プロ1年目では、8勝12敗、143奪三振という好成績の反面、127四球という成績でもあった。
このコントロールの悪さが如実に表れてしまったのが、1953年に行なわれた巨人戦で、速球で敬遠した投球があらぬ方向へ飛んで行ってしまい、捕手が取れず大暴投となり、敬遠サヨナラ暴投という珍記録を残した。
彼のこのコントロールの悪さは、その後徐々に改善されていったようであるが、それでも彼の投手としての実力は並々ならぬものであったことは確か。そのあまりの剛速球に、プロ入り直後には「投手と捕手の間隔が短いのではないか」という異例のクレームが入ったという逸話もある。
1957年8月21日の中日戦では、およそ45分にも及ぶ抗議・騒動という妨害があったにもかかわらず完全試合を達成。因みに、1957年4月5日の巨人戦では、この日がデビューとなった長嶋茂雄を全て三振で打ち取っており、同年6月5日の阪神戦では、史上8人目の200勝を、24歳という若さで達成した。
因みに、投手としてだけではなく、打者としてもその実力は発揮されており、1年目には10月6日にプロ入り初のホームランを放っているが、17歳2ヶ月での初ホームランは、現在でも破られていない最年少記録として知られている。
数々の記録を打ち立てた超人的とも言えるその能力は、何よりも人一倍のハードな練習の賜物であり、高校時代から一貫して走り込みを基本として、下半身の強化を重視していたと言われている。その練習量は、長嶋茂雄すら仰天し、村山実も音を上げたほどだったとも言われている。
こうした、数々の逸話に彩られた金田は、フィクションの世界にも多大な影響力を及ぼした。特に、野球漫画においては『巨人の星』で、主人公・星飛雄馬の魔球「大リーグボール1号」開発を決心するきっかけと作った人物のほかにも、『侍ジャイアンツ』でも主人公の良き理解者という形でキャラクターとして登場している。
『アストロ球団』では、アストロ球団の球場を狙うヒール(ロッテの監督)として登場しているが、金田がこの作品を高く評価したこともあり、「プロの厳しさを教える為にあえて悪役を演じている」という設定が原作者によって変更されたという。なお、スポ根以外でも、『鉄人28号』にて鉄人28号を操縦する主人公・金田正太郎の名前が、彼に由来したものであることは有名だ。
そんな彼も、1969年に現役引退を表明。引退前の10月10日に行なわれた中日戦にて彼は通算400勝を達成した。まだまだその後もやる気であった彼に引退を決意させたのは直前に彼と対談をした石原慎太郎であったという。
石原は、「400勝を区切りに身を引くべきだ」「誰もあなたが打たれるのを見たくない。なぜならあなたが金田正一だからだ」と金田に告げ、この言葉によって彼は引退を決めたと言われている。
【参考記事・文献】
https://dic.nicovideo.jp/a/%E9%87%91%E7%94%B0%E6%AD%A3%E4%B8%80
https://dic.pixiv.net/a/%E9%87%91%E7%94%B0%E6%AD%A3%E4%B8%80
https://dot.asahi.com/articles/-/100845?page=1
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2019/10/06/kiji/20191006s00001173504000c.html#goog_rewarded
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2019/10/07/kiji/20191007s00001173183000c.html#goog_rewarded
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【文 ZENMAI】
画像 ウィキペディアより引用